東洋ビューティ、被災を教訓としてBCP意識を底上げ

週刊粧業 2021年4月12日号 23ページ

カンタンに言うと

  • IT推進統括部を軸にIT化も推進
東洋ビューティ、被災を教訓としてBCP意識を底上げ
 化粧品ODM/OEMの国内大手である東洋ビューティは、2019年春に自社最大規模となる佐賀工場を新設し、宇都宮第一・第二工場(栃木)、上野工場(三重)の国内3拠点・4工場体制で生産能力を拡大するとともに、供給体制の強化を目的にBCPの充実化を図った。

 また、同年11月には経営企画本部内に「IT推進統括部」を発足し、IT活用によるフロント&バックオフィス業務の効率化を推進している。

 生産部門では、昨春のコロナ感染拡大を受け、SKUごとに他工場への生産移管シミュレーションを実施。約3カ月間のシミュレーションで、全製造品目のうち約7割(工場指定製品を除く)の品目が移管できることを確認した。

 これまでも突発的な受注増や納期短縮に対し、複数工場で生産を行うなど臨機応変に対応し経験値を積んできたが、数値データで把握することで、早期かつ適切な対応を実現する。

 生産本部長兼エンジニアリング統括部長・宇都宮工場長 工場管掌の山口剛史取締役は、「当社は11年3月の東日本大震災による宇都宮工場の被災経験を教訓に、全社のBCP意識は高まった」と話す一方、コロナ禍では、感染リスクのため工場間で人の移動が難しいなど「自然災害時との違いも実感した」と話す。

 IT推進統括部の出真一統括部長は、「工場やオフィス環境におけるコロナ禍のBCP課題はIT化を推進することである程度解決できることであるし、解決していかねばならない」と語った。

 IT推進統括部では20年より社内システムのIT化を推進する方向性が示されていた。

 「コロナ禍で工場や研究所で勤務する社員への対応は難しい部分があったが、在宅で業務が可能な社員については全員がフルリモートで仕事ができる状態になっている。IT化推進には、社員のITリテラシーの向上も併行して行う必要がある。その点、当社は社長を含め社員の平均年齢は若く、ITに対する理解や関心があり、進めやすい環境にあると言える。今後も社員への啓発活動と合わせて継続的に取り組み、あらゆる業務の効率化を進めていく」(出統括部長)
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