化粧品原料商社として1975年に創業し、化粧品OEMや容器製造なども手がけるホシケミカルズでは、エイジングケア・保湿原料のカテゴリーにおいて、天然の脂肪酸とアミノ酸を由来とする浸透性の高い皮膚・毛髪の高機能ダメージケア素材「ペリセア」(ペリセアは旭化成ファインケム社の登録商標)の提案に注力している。
ペリセアは、生体脂質と相互作用しやすい2つの疎水基とトリペプチドからなる、2鎖3親水基のジェミニ型両親媒性化合物である(図)。この構造は、セラミドの構造と類似していることから皮膚や毛髪への高い親和性があり、ダメージ修復機能を持つ。
ペリセアのスキンケア機能については、セラミドと比較して浸透性とバリア機能の回復に優れ、荒れた肌の角層内部に浸透し細胞間脂質のラメラ液晶構造を形成することで、TEWL(水分蒸散量)と角層水分量を改善し、弾力とキメのある肌に導くという。
実際に、テープストリッピング法による角層内部への浸透性の検討では、皮膚表面にペリセア(固形分0.5%)とセラミド(0.5%分散液)をそれぞれ一定量(22.2µl/㎠)塗布し、テープで皮膚表面を14回ストリッピングして角層を剥離。テープに付着したペリセア・セラミドをそれぞれ抽出し、HPLC(高速液体クロマトグラフ法)にて定量分析した。
その結果、ペリセアのほうがセラミドよりも残存比率が高く、角層内部に浸透しやすいことが確認された(図)。
また、バリア機能の回復におけるセラミドとの比較試験では、前腕内側部に5%ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液を塗布して荒れ肌モデルを作成し、ペリセア・セラミド各1%試料水溶液を1日2回塗布(2µl/㎠)してTEWLと角層水分量の推移を確認した。
その結果、ペリセアはセラミドと比べてTEWLと角層水分量でそれぞれ有意なスコアを示した。
「バリア機能を改善する従来の原料は、セラミドのように水や油のいずれにも溶けにくく、極めて配合しづらいといった課題があった。しかし、ペリセアはセラミドよりも高いバリア機能の回復性能を有していながら、水溶性のため化粧品への配合が安易であり、処方開発の点でも扱いやすい」(営業部第三チーム荷口直也氏)
ペリセアの毛髪への働きについては、分子内のトリペプチド構造の中に、水と親和しやすいアミド結合やカルボキシル基を持つペリセアが毛髪中間部のコルテックスに浸透してダメージを修復するほか、水分の内部浸透を促進してコルテックスを膨潤し、毛髪の太さを改善する。
さらには、セラミドと類似構造を持つペリセアがCMC(細胞膜複合体)の働きを改善し、キューティクルのリフトアップや毛髪内部の亀裂を修復する。
ペリセアの毛髪ダメージ修復効果については、パーマ処理とブリーチ処理を4回繰り返したダメージ毛をペリセア固形分0.1%水溶液に1分間浸漬し、タオルドライ後に室温で風乾して1日乾燥した。
その結果、ペリセアは1分間という短時間で浸透し毛髪の内部からダメージを補修するほか、毛髪表面のキューティクルのリフトアップを修復することが確認された(図)。
「当社では2006年からペリセアの取り扱いを開始し、スキンケアやヘアケアといった機能以外にも極めて低い濃度でミセルを作ることができるため、少量で乳化やゲル化の調整が可能だ。さらには、残香性や撥水性といった機能も付与するユーティリティな原料で、原料供給はもとよりOEM製品への採用実績も非常に豊富だ。植物由来で石油由来・動物由来原料は使用しておらず、生分解性が高いことから環境配慮の視点を持った原料としてトレンドのクリーンビューティにもマッチし、医薬部外品や欧州のREACH規制、中国化粧品法規にもそれぞれ対応している」(荷口氏)