日本コルマー、新たな価値創造で連携に意欲

週刊粧業 2021年7月5日号 27ページ

カンタンに言うと

  • 原料開発や環境対応でも実績
日本コルマー、新たな価値創造で連携に意欲
 化粧品・医薬部外品OEM/ODM国内最大手の日本コルマーは、自社で充実した研究開発・技術・製造体制を敷く中で、他社との連携をどう捉えているのか。

 研究開発本部の小池高広執行役員と基礎研究を担うスキンリサーチセンター(SRC)の西浦英樹統括マネジャーに企業連携話を聞いた。

 ――貴社のアライアンス事例についてお聞きします。

 西浦 新しいところでは、健康食品分野でOEM事業を展開するアピ社(本社=岐阜)と共同で新しい美容原料の研究に取り組み、このほど栄養価の高い食品素材で知られるビーポーレンから抽出したエキスに化粧品原料として表皮への抗老化作用を発見した。

 研究成果については今年3月の日本薬学会第141回でも共同発表している。業界は異なるが、ODM/OEM事業同士が一緒に研究に取り組むのは珍しいケースである。

 小池 また、原料関連ではSDGsやサステナブルをテーマに再生可能な原料への切り替えを推進している。これは仕入先企業の協力なくしては進められないことである。

 西浦 加えて、5月のCITE JAPANで紹介したナノバブル発生装置を用いたスキンケア製品も3社連携で開発を進めた事例である。既に興味を示していただいた企業とは商談中である。

 小池 ODM/OEMというビジネスの構造自体、他者とのアライアンスの関係性で成り立っていると考える。実際に、現在生産している製品のうち約9割以上が当社で開発した処方である。

 当然ながら関係を持つ相手は、化粧品を生業とする企業をはじめ異業種、ベンチャー、大学など様々であり、相手に合わせた対応が重要になる。

 ――具体的には。

 西浦 分かりやすいところでは安全性・有効性に関する評価試験はマーケティングに使いやすい形で提供する。そのため、訴求したいポイントに合わせて評価試験をデザインしていくことから一緒に取り組んでいる。

 小池 そのためSRCは依頼者のニーズを把握しており、情報伝達を密にして処方開発と営業の橋渡しの役割も担っている。その機能をさらに強化する目的で昨年11月にマーケティング部をSRCへ移設した。開発の生産性向上につなげていく。

 また、海外拠点との連携も今後は増えてくる。例えば、中国では既存の処方開発部門に続いて、昨年は蘇州コルマーの第二工場内に研究所を新設した。現地の研究員20名体制で研究に取り組んでいる。

 蘇州第二工場には新たにバルク製造設備を導入し、化粧品の製造から充填、加工・仕上げまで一貫できる体制を整える予定である。
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