アルビオンは、東京農業大学と2013年から包括連携協定を締結し、2014年に「スリランカ伝統植物研究所」を共同で設立するなど、植物の成分と機能性に関する研究を行う中、このほど、「ホーリーバジル」の特徴的な香り成分を特定し、これら香り成分に高い抗酸化作用があることを発見した。
今回の研究結果は、「第65回香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会(TEAC)」(2021年10月30日~31日)にて発表した。
香りは化粧品において重要な構成因子の1つであり、スキンケア、メークアップ製品など多くのアイテムに配合されている。その中にはフローラル、シトラス、ウッディ、フルーティーなど様々な香り成分が含まれており、我々の「感性」を刺激し、毎日の生活を豊かにしてくれている。また、香りを嗅ぐことでリラックスしたり、集中したりと心理的効果も期待できる。
同社では、心地よさと高い肌効果を両立すべく、「香り」がもたらす「効能」にも注目し、両面から研究を進めてきた。そしてその2つを併せ持つ植物として、スリランカ伝統植物研究所で栽培しているホーリーバジルに着目した。
ホーリーバジルは、世界三大伝統医学の1つであるアーユルヴェーダにおいて、「不老不死の霊薬」と呼ばれる聖なる植物で、漂う香りは身体の免疫機構を高め、精神的肉体的バランスを取り、抗ストレス効果をもたらすといわれている。
研究を進めていくと、ホーリーバジルは、スパイシーな香りとほのかな甘さ、グリーンな香りを骨格として構成されることが明らかとなり、フローラルやシトラスの香りを強く感じるスイートバジルとでは香りの感じ方が全く異なることがわかってきた。また、ホーリーバジルの香りを形作る成分として、スパイシーな香り成分(eugenol,rotundone)、甘い香り成分(3-hydroxy-4,5-dimethyl-2(5H)-furanone,coumarin,vanillin)、グリーンな香り成分(3-isopropyl-2-methoxypyrazine,3-methyl-2,4-nonanedione)などを特定した。
次に、ホーリーバジルの香り成分の抗酸化作用を、スイートバジルと比較したところ、スイートバジルの約4倍程度の強力な抗酸化作用を示した。この抗酸化作用は、ホーリーバジルの香りを構成する上で重要なスパイシーな香り成分(eugenol)が大きく関係していた。
さらに、ホーリーバジルの香り成分中には、これまで明らかになっていない新規成分が含まれており、これら成分も高い抗酸化作用をもつ可能性があることがわかってきた。さらに詳細な解析を進め、新規香り成分の特定と効能の解明を目指していく。
今回の研究成果をもとに、「感性」に訴えかける香り成分の研究を進めていき、さらには肌効果にも優れた原料を開発し、商品開発へつなげていく。