香栄興業、希少アミノ酸エルゴチオネインを高純度化した新規原料を拡販

粧業日報 2022年6月8日号 2ページ

香栄興業、希少アミノ酸エルゴチオネインを高純度化した新規原料を拡販
 香栄興業(本社=東京都千代田区)の2021年下期(21年10月~22年3月)は、主力3事業「化粧品添加剤」「油剤」「香料」が市況の改善とともに回復傾向にある。

 CITE JAPANにおいて訴え続けてきた「天然由来原料の豊富な品揃え」に対する周知が着実に進み、自然志向の案件が増えてきているほか、小回りが利くことへの評価が高まっていることで業績も上向いてきている。

 原材料価格の急騰に対しては、販売価格に転嫁せざるを得ない状況だ。取引先へは丁寧に説明し理解を得られるよう努めていく。

 同社では、希少アミノ酸「エルゴチオネイン」が脚光を浴びつつある時流を捉え、それを95%以上の高純度で精製したタモギタケ由来の「Natural ERG Liquid(医薬部外品用)」を今期の注力原料に位置づけ強化を図っている。

 「2007年より開発に着手し、エルゴチオネインを多く含有する食用キノコである『タモギタケ』に着目して精製技術のレベルアップを図ってきた。今回、化学合成品が主流の市場にあって、天然物由来のエルゴチオネインの高純度化に成功したことから積極的に拡販を進めていく」(技術部 三谷茂樹氏)

 エルゴチオネインはキノコや一部の微生物のみが合成する希少アミノ酸で、熱や酸に強く、強力な活性酸素消去能を有するが、ヒトなど哺乳類の体内では合成されず、加齢とともに減少してしまう。同原料は生体内成分であるため、細胞内(皮膚細胞や組織のトランスポーター)に安全に取り込まれ、抗酸化、抗炎症、シミ抑制をはじめ様々な効果が期待できる。

 高純度化により、化粧品向けには大きなハードルであった色、ニオイ、不純物などが大幅に低減している。スキンケアや育毛剤への配合を推奨している。

 また、化粧品業界においてSDGsへの動きが加速する中、栽培から収穫、加工、分析までを行う「カスタムオーダー特注原料」に引き続き注力する。国内生産農家の支援とともに、サステナブルな化粧品原料の供給にも取り組んでいく。

 今後については「7月には新工場(埼玉県加須市)、8月には新研究所(本社近隣)が稼働する。製造能力が増し、品質向上が図れることを積極的にアピールしていく」(藤倉努取締役)という。
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