カンタンに言うと
「レピスタ」によるシワ改善効果とバリア機能の改善・強化について紹介
三菱商事ライフサイエンス(MCLS)は、化粧品原料の開発・販売を行う100%子会社のビタミンC60バイオリサーチを2024年4月1日付でMCLSの化粧品事業部に統合した。現在は新体制のもと、主力のエイジングケア成分「フラーレン」をはじめとした機能性化粧品原料を展開している。
発酵技術を活用したナチュラル・サステナブル・アップサイクルな世界初の酵母細胞壁由来の化粧品原料「ファルベレ」シリーズや、植物成長因子のアザオキソヒポキサンチン(AOH)を有効成分にした世界初の化粧品原料「レピスタ」も提案している。
今回の週刊粧業オンラインセミナーでは、新たにシワの改善効果を確認したレピスタについて紹介した。
レピスタの有効成分である植物成長因子のAOHは、2014年に国立大学法人静岡大学・農学部の河岸洋和特別栄誉教授によって発見された。
「レピスタ」という名前は、キノコの一種・コムラサキシメジの学術名「Lepista sordida」にちなんでつけられたという。公園やゴルフ場などで芝が輪状に色濃く繁茂し、後にキノコが発生する現象「フェアリーリング(妖精の輪)」の正体がコムラサキシメジであることが解明され、その中の成分としてAOHが発見されたことによる。
レピスタの主なポイントは、「世界初(世界で唯一の化粧品成分)」「安全(安全性試験をすべてクリア)」「肌再生(細胞レベルで肌活性化)」の3点だ。
「AOHを有効成分とした化粧品原料は世界で初めてであるため、安全性に関しては非常にこだわった」(化粧品事業部 営業部 国内営業課 課長 本間真弓氏)
眼刺激性や皮膚感作性、ヒトパッチテストや光毒性などの安全性試験は全てクリアしている。AOHは微量ながらお米や野菜にも含まれる植物成長因子であり、AOHを約1g抽出するために米300~400t(3~4億円分:コシヒカリ換算)が必要とされる非常に希少な成分だ。
植物からの抽出は難しいため、生物模倣からヒントを得る「Biomimicry」を活用し、高純度(99.9%)なAOHの製造技術を確立することに成功した。AOH自体は粉末だが、使いづらいといった懸念があるため、レピスタでは液体原料化を実現した。
レピスタのエイジングケア効果としてはシワ改善、バリア機能の改善・強化、細胞賦活、美白・透明感、保湿(ヒアルロン酸産生促進)、ターンオーバー促進の6つの効果が見出されている。
シワ改善効果では、32~58歳の女性23名を対象に長期連用試験(ダブルブラインド試験)にて1日2回、朝・晩の洗顔後に1%レピスタ配合化粧水(0.01%AOH)と5%レピスタ配合化粧水(0.05%AOH)を塗布し、12週間後の肌を測定した。
レプリカによる画像解析の結果、5%レピスタ配合化粧水を使った被験者は最大シワ最大深度(解析対象とする目尻部位に存在する一番大きなシワの中で、最も深い部分の深さ)が4週間で-14㎛、12週間で-34㎛となり、シワが浅くなっていることが確認された。さらに、カラー写真で12週間後の肌を見比べてみると、深いシワだけでなく、小ジワも改善された。
このように、全体的な見た目の印象を変えることができるため、「シワ改善を訴求する化粧品には是非レピスタを配合することをおすすめしたい」(本間氏)。
レピスタのシワ改善効果ではこのほか、DNAマイクロアレイの結果により、皮膚のバリア機能・シワ改善に関与する遺伝子群の発現量が濃度依存的に増加していることが確認された。
具体的には、TGM1(トランスグルタミナーゼ)とINV(インボルクリン)の発現量が増加すると、角層の成熟化と角層細胞の物理的強度がアップする。CLDN1(クローディン1)とDSC1(デスモコリン1)の発現量が増加すると、顆粒層での細胞間の接着状態が良好になってバリア機能が強化される。
KRT1(ケラチン1)とKRT10(ケラチン10)の発現量が増加すると、有棘層での角層・表皮の分化がスムーズになる。HAS3(ヒアルロン酸合成酵素)の増加によって、表皮全体の保湿性を高める。
レピスタでは、これら皮膚のバリア機能に関わる遺伝子発現を濃度依存的に増加し、コラーゲン(1型・4型・7型)とフィブロネクチンの産生が促進され、肌の弾力がアップしたほか、ヒアルロン酸の産生が促進され、パルミチン酸レチノールと比べて保水力に関して高いスコアを示した。
バリア機能の改善とヒアルロン酸の産生促進、コラーゲン分解酵素を抑制し、コラーゲン産生を促進したことがシワ改善につながったものと推測される。レピスタを活性酸素を除去するフラーレンと併用することにより、より一層エイジングケア効果が期待できる。
バリア機能の改善効果では、被験者3名の前腕内側部に美容レーザーを照射後、1%レピスタ配合化粧水と10%レピスタ配合化粧水を1日2回朝晩に塗布し、写真解析により15日後の肌の赤みを測定した。その結果、無塗布に比べて1%配合では皮膚の赤みが50%改善され、10%配合で70%改善された。
また、41~58歳の女性22名を対象に行った長期連用試験(ダブルブラインド試験)では、1日2回朝晩の洗顔後に10%レピスタ配合化粧水と無配合のプラセボを塗布し、8週間後の角層水分量と経表皮水分蒸散量(TEWL)を測定した。その結果、プラセボと比べて角層水分量が30%増加し、TEWLが15%減少した。
経表皮水分蒸散の顕著な抑制によりバリア機能が強化されたことが、シワの改善効果につながったと考えられる。
レピスタに関するデータとしてはこのほか、ヒト表皮角化細胞を10%増加させる「細胞賦活」と、メラニン産生量を34%抑制し、チロシナーゼの活性を19%抑制させる「美白・透明感」などがある。
「レピスタはフラーレンと同様、規定値以上(推奨配合濃度1%以上)を配合された商品にレピスタ専用ロゴマークを表示していただける。AOHはアルカリでの溶解性が高く、原料としてはアルカリ性になるが、化粧品配合濃度であれば弱酸性でも安定している。pHを調整して、規定値以上の配合をされることをおすすめする」(本間氏)
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この記事はC&T 2024年6月17日号 54ページ 掲載
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