ビタミンC60バイオリサーチ、世界初 植物成長因子「AOH」を化粧品原料として製品化

週刊粧業 2022年10月17日号 18ページ

2022年10月19日 12時30分

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 ビタミンC60バイオリサーチは、国立大学法人静岡大学が新たに発見した植物成長因子「2-aza-8-oxohypoxanthine(アザオキソヒポキサンチン、以下AOH)」を、同大学との共同研究により世界で初めて化粧品原料として製品化することに成功し、皮膚バリア機能を改善するエイジングケア成分「Repista(レピスタ)」として、今年10月に発売した。

 このAOHは、「第39回日本美容皮膚科学会総会・学術大会」(昨年7月31日~8月1日)において、有効性・安全性評価の研究結果が優秀演題賞を受賞するなど、最先端のエイジングケア成分として注目を集めている。レピスタの開発経緯と具体的な効果について、林源太郎社長に話を伺った。

世界初のAOH含有化粧品原料
「レピスタ」を10月より販売開始

 今回、ビタミンC60バイオリサーチが化粧品原料化に成功したAOHは、共同研究を行った静岡大学の河岸洋和特別栄誉教授(以下教授)が発見した新規の天然化合物だ。河岸教授は、抗認知症効果をもつヤマブシタケ由来の薬理活性物質の発見やスギヒラタケによる急性脳症の解明など、キノコの様々な生物活性物質を発見した第一人者である。そして、「フェアリーリング」と呼ばれる長年謎とされていた現象を科学的に解明し、植物成長調節物質としてフェアリー化合物(FCs)を発見するなど、生物有機化学分野において優れた業績を挙げ、昨年11月には紫綬褒章を受章した。

 フェアリーリングは、公園やゴルフ場、住宅街などで芝が輪状に周囲より色濃く繁茂し、その跡にキノコが発生する現象で、河岸教授はフェアリーリングの形成に関与する物質の1つが、「AOH」であることを突き止め、2014年に発表した。

 このAOHは、キノコ以外にコメやトマトなど多くの食用植物が保有する成長因子だが、 含有量がごく微量のため抽出は不可能とされ、 実用化の障壁となっていた。

 ビタミンC60バイオリサーチでは、AOHが持つ植物の成長促進作用に注目し、 ヒト皮膚に対しても有用な可能性があると考え、 その化粧品原料化を目指し、2018年より静岡大学との共同研究を開始した。

 そして、約5年の研究期間を経て、微生物の分泌する酵素を活用しAOHを製造する技術を確立した。また、 化粧品に配合しやすくするため水酸化ナトリウムと水を用いて水溶化にも成功し、さらに効果効能や安全性の検証も行い、今年10月より世界初のAOH含有化粧品原料として「レピスタ」の販売を開始した。

 「レピスタは、AOHが発見されたコムラサキシメジの学術名(Lepista sordida)にちなんで命名した。AOHは、コメやトマトなどの多くの植物が持つ成長因子だが、その含有量はごく微量である。例えば、3億円分のコシヒカリから僅か1gしか取れないといえば、その希少性はわかりやすいかもしれない。このAOHの製造プロセスを確立するのに苦労した。当社はフラーレンに代表されるように、オリジナリティや新規性の高い、これまでになかった革新的な化粧品原料の開発に定評がある。第39回日本美容皮膚科学会総会・学術大会で当社の青島央江研究員が優秀演題賞を受賞できたのも、物質自体のユニークさもさることながら、植物成長因子のAOHを世界で初めて、化粧品原料として開発した新規性とチャレンジ性が高く評価されたのだろう」(林社長)



ターンオーバー促進やヒアルロン酸
産生促進などレチノール様の効果を確認

 レピスタの主なエイジングケア効果としては、「細胞賦活」「皮膚バリア機能改善」「ターンオーバー促進」「ヒアルロン酸産生促進(保湿)」「透明感」の5つの作用が期待される。

 細胞賦活の評価試験では、正常ヒト表皮角化細胞にレピスタを添加(0.04%~0.3%)して48時間培養した後、MTTアッセイを用いて細胞生存率を測定した。その結果、濃度に依存して細胞生存率の増加が認められ、表皮細胞に対して賦活作用を有することが示唆された。

 次に、表皮細胞に対する賦活効果により、細胞内(角質層・顆粒層・有棘層・表皮全体)で遺伝子の発現量がどのように変化しているかを調べるため、ニコダームリサーチ社が提供する有用性評価のDNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析した。

 角質層では、角層細胞を守る膜であるコーニファイドエンベロープの形成に関与するトランスグルタミナーゼ1とインボルクリンの遺伝子発現量が増加し、角層の成熟化が速くなるほか、皮膚表面の物理的強度と保湿機能を高めることが期待される。

 顆粒層では、タイトジャンクションに重要な役割を果たすクローディン1とデスモコリン1の遺伝子発現量が増加し、細胞間の接着状態が良くなることでバリア機能の向上が示唆される。

 有棘層では、細胞骨格の形成に重要な役割を果たすケラチン1とケラチン10の遺伝子発現量が増加し、角層・表皮の分化がスムーズになることが期待される。



 表皮全体では、ヒアルロン酸の産生に重要な役割を果たすヒアルロン酸合成酵素遺伝子の発現量が増加し、これに伴い皮膚水分量(保湿作用)の上昇につながるものと推測される。

 「レピスタのヒアルロン酸産生促進効果は、パルミチン酸レチノールと比較し、1.6倍増加した。また、レピスタはレチノールと併用すると、レチノールの肌に対する刺激(細胞障害)を緩和する作用も確認されている」(林社長)

 臨床試験では、美容レーザーを用いたバリア機能回復試験(被験者数3名、平均年齢45±2歳)を行い、前腕へ照射後にレピスタ1%配合美容液とプラセボを朝晩2回塗布した。その結果、レピスタ配合美容液は1日目と2日目でいずれもプラセボよりも早く損傷した皮膚のバリア機能が回復した。

 臨床試験ではこのほか、8週間の長期連用試験(被験者数22名、平均年齢48・4±4.7歳)を行い、朝晩の洗顔後にレピスタ10%配合化粧水とプラセボを塗布した。その結果、レピスタ配合化粧水は角層水分量がプラセボよりも30%増加し、TEWL(経表皮水分蒸散量)が15%減少した。さらに、肌明度がアップし、保湿・バリア機能の改善によって美白効果が期待できることも示唆された。

 「レピスタを配合した美容ジェルクリームを実際に使用した18名のモニター試験参加者からは、89%が乾燥に効果があると回答され、83%の人がこれからも使い続けたいと評価いただいている。実際にユーザーから高い評価をいただくことができて、自信がついた」(林社長)

 レピスタの推奨配合量は1~10%で、1%以上配合した製品にはパッケージやボトルにレピスタのロゴマークが表示できる。

 レピスタの有効成分であるAOHの肌における安全性については、 OECDテストガイドラインに準拠したin vitro安全性試験(皮膚刺激、皮膚感作性、光毒性)、ヒト試験(パッチテスト、 光毒性・光感作性、 累積刺激及び感作)など化粧品原料の開発に必要とされる一通りの安全性試験を実施し、全ての安全性試験において毒性は認められず、 その安全性が証明された。

 「AOHは各種安全性試験をクリアしたことに加え、私たちが日頃から口にしている米などの穀物や野菜、キノコなどにも含まれていることが明らかになっており、安全で安心して使用できる化粧品原料といえる。植物成長因子であるAOHは現在、地球温暖化や人口爆発などにより将来起こり得る世界的な食糧危機を解決する可能性がある物質として、国の支援のもと、河岸教授のチームが中心になって研究を進めており、『ウェルビーイングな天然化合物』として幅広い分野で今後ますます注目を集めるだろう」(林社長)

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