ポーラ化成、視覚障がいを問わず評価できる官能評価試験を確立

訪販ジャーナル 2022年11月14日号 8ページ

ポーラ化成、視覚障がいを問わず評価できる官能評価試験を確立
 ポーラ化成工業は、NTTクラルティと共同で視覚障がいを問わず評価可能な化粧品の官能評価試験を確立した。これを足がかりに、視覚障がい者が化粧品の感触づくりに携わることができる場を生み出すことで、視覚障がい者自らの持つ力を活かして活躍する機会の拡大につなげていく。

 同社では、誰もが活躍できる社会を目指し議論を進める中、日常生活で「触る」ことからさまざまな情報を得ている視覚障がい者の特性に着目すると、化粧品開発に欠かせない「感触づくり」は視覚障がいを問わず活躍できる場になるのではないかと考えた。

 一方、NTTクラルティでは、共生社会の実現に向けて、障がい特性を強みとして活かすことができる事業を展開するとともに、障がい者の視点から情報を社会に発信している。今回、NTTクラルティがポーラ化成工業の取り組みに賛同し、視覚障がい者を含めた連携が始まった。

 ポーラ化成工業では、化粧品開発に役立てるため、化粧品の感触データベースを独自に構築している。このデータを取得するために実施する官能評価試験は、これまで晴眼者が参加してきたが、今回の取り組みでは、視覚障がい者も試験に参加できるようにするため、適した試験方法について検討を行った。

 検討では、視覚障がい者が試験方法を検証し、その意見をもとに試験における障壁を精査することで、評価の手法や必要なサポートを整備。視覚障がい者の女性36名が参加した実際の官能評価試験にて、化粧品ごとの感触の差を評価できる手法となっていること、提供したサポートにより試験をスムーズに実施できることを確認した。

 さらに、取得したデータからは、視覚障がい者が晴眼者とは異なる評価傾向を有することが示唆されたが、視覚に影響されずに評価できる点や、感触に対する注意の払い方の違いが影響している可能性が考えられるという。データの分析を深めることで、これまでにない切り口による有用な発見や研究の糸口、視覚障がい者の活躍の新しいヒントを導き出していく考えだ。

 今後も多くの意見を取り入れながら取り組みを進め、視覚障がいを問わず活躍できる場を広げることでWell-beingの実現につなげていく。
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