花王、肌の黄みに角層蛍光性AGEsが関連することを確認

粧業日報 2024年6月11日号 1ページ

カンタンに言うと

  • 植物エキス混合物により角層蛍光性AGEs形成を抑制
花王、肌の黄みに角層蛍光性AGEsが関連することを確認

 花王は、角層に存在する糖化生成物のうち「蛍光性AGEs(Advanced Glycation End Products、終末糖化産物)」を簡易に測定する技術を確立し、蛍光性AGEsが肌の黄みに関連することを明らかにした。さらに抗糖化能を持つ植物エキス混合物を見出し、肌においても2週間の連用により角層の蛍光性AGEs量が低減することを確認した。

 同社は、肌のエイジングに関わる糖化について早くから研究を進めてきた。これまでに、肌の最外層である角層にAGEsの一種であるCML(カルボキシメチルリジン)が存在することをいち早く突き止め、CMLが増加した角層では、角層肥厚や角層水分量低下が顕著になることなどを明らかにしている。

 一方で、肌の印象に影響する肌の黄みは糖化が一因とされているが、CMLと肌の黄みとの関係性は見られないことから、肌の黄みには別の種類のAGEsが関与しているのではないかと考えた。AGEsには蛍光特性を持つものと持たないものがあり、CMLは蛍光特性を持たないため、蛍光特性を持つAGEs(蛍光性AGEs)に焦点を当て検討を進めた。

 皮膚における蛍光性AGEs量を把握するには、これまで肌の上から光を当て、角層から真皮までの蛍光総量を測定する方法が一般的だったが、この方法では測定範囲に真皮や血管なども含まれてしまうため、最外層にある角層が肌の黄みに関与している可能性があると考え、粘着テープを肌に当てて角層を採取し、蛍光性AGEsを抽出、分析する新たな技術を構築した。

 この方法を用いて、2023年3月、日本人女性35名を対象に、左右の頬から角層中の蛍光性AGEs量を測定し、肌物性との相関を解析した。その結果、角層蛍光性AGEs量と肌の黄みの間に有意な正の相関があることを確認した。これにより、蛍光性AGEsが特に肌の黄みに強く関与するAGEsであることが示された。

 同社は、蛍光性AGEsの形成を抑制する成分を探索することを目的に、糖化させたタンパク質に様々な成分を添加し、前後の蛍光強度を測定することで、蛍光性AGEs形成抑制率を算出した。その結果、スマートガーデンローマカミツレエキス、ゲンノショウコエキス、チョウジエキスの3種の植物エキス混合物を添加した場合、未添加時と比較して、蛍光性AGEs形成率が63%抑制されたことを確認した。

 上記結果を踏まえ、2023年3月、日本人女性33名を対象にこれらの植物エキス混合物を配合した製剤、配合していない製剤をそれぞれ朝晩2回片顔に塗布し、2週間後の角層蛍光性AGEs量、肌の黄みの変化を確認した。その結果、植物エキス混合物配合製剤を2週間連用した側では、角層蛍光性AGEsの形成が抑制され、有意に肌の黄みも低減したことを確認した。

 今回の研究で花王は肌の最外層である角層に存在する蛍光性AGEsを測定する技術を構築し、肌の黄みとの関連性を明らかにした。また、蛍光性AGEs形成抑制剤として見出された植物エキス混合物配合製剤の2週間の連用により、角層蛍光性AGEs量が減少し、肌の黄みが変化することを確認した。

 以上のことから、ターンオーバーによって1カ月程度で入れ替わる角層の蛍光性AGEsの抑制は、肌の印象を変化させるアプローチとして有効な可能性があると考えられた。

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