近年、新事業の創出や社会課題の解決を目的とした異業種連携が化粧品トイレタリー業界で加速しています。外部環境の影響も大きいです。
国内は人口減少にともなう経済成長の鈍化やAI・デジタル化の進展といった環境変化への対応が求められています。また、SNSの普及で市場競争はさらに激しさを増し、LTV(生涯顧客価値)の向上を推進する一方、商品のライフサイクルはどんどん短くなり、スピード開発が求められています。
既存事業や従来のような社内内製化だけでは成長し続けることが困難な時代を迎え、自社の専門性・独自性を活かしながら新たな成長領域を見出せる異業種連携に注目が集まっています。
各社の動向から業界の垣根を超えた外部連携の形は、ますます多様化していることが窺えます。
化粧品業界で異業種連携が進みつつある理由は、以下の5つに集約されます。
異業種連携により、新しい技術やデジタルツールを取り入れることで、製品の開発やマーケティングがより効率的かつ効果的になります。例えば、AIやビッグデータを活用したパーソナライズド美容製品の開発が進んでいます。
消費者のニーズが多様化している中で、他業界からの知見や技術を活用することで、より消費者に応じた製品やサービスを提供することが可能になります。特にウェルネス企業やヘルスケア企業との連携が注目されています。
環境意識の高まりにより、持続可能な製品開発やパッケージングが求められています。異業種連携により、再生可能エネルギーや環境に優しい素材の利用が促進されます。
医療やバイオテクノロジー分野との連携により、科学的に裏付けられた効果の高い化粧品の開発が可能になります。これにより、製品の信頼性と効果を飛躍的に向上させることができます。
これらの要因により、化粧品業界では異業種との連携が進み、新しい価値の創出が加速しています。
化粧品メーカー・トイレタリーメーカーが異業種連携を行うメリットは多岐にわたります。
異業種連携により、他業界の最新技術を取り入れることができます。例えば、バイオテクノロジー企業との連携により、高機能な美容成分の開発が進むことが期待できます。
異なる視点や知識を持つ企業との連携は、新しいアイデアや革新的な製品開発のきっかけになります。これにより、独自性の高い製品を市場に提供することができます。
環境技術企業との連携により、エコフレンドリーな製品やパッケージングの開発が可能になります。これにより、企業の社会的責任を果たし、環境意識の高い消費者にアピールすることができます。
医療機関や大学との連携により、科学的根拠に基づいた製品の開発が進みます。これにより、製品の信頼性や効果を飛躍的に高めることができます。
国際的な企業や早期に海外進出していた企業との連携により、新しい市場への参入が容易になります。これにより、グローバルなビジネス展開が加速し、企業の成長機会が広がります。
これらのメリットにより、化粧品メーカー・トイレタリーメーカーは異業種連携を積極的に推進し、競争力を高めています。
花王は、ヘルス&ビューティケア領域にて東京・高円寺で老舗銭湯を営む「小杉湯」と協働し、東急プラザ原宿「ハラカド」内に今年4月24日オープンした小杉湯2店舗目となる「小杉湯原宿」で、新たな取り組みをスタートした。
コーセーは、iPS細胞を用いたパーソナライズ美容商品の開発・提供に向けて、医療グレードのiPS細胞の作製・培養管理(保管)を行うアイ・ピース(本社=米国)、iPS細胞抽出成分(iPSF)を提供するレジュ(本社=東京)と技術提携し、年内より実証実験をスタートする。
ポーラ・オルビスグループのACROは、ライフスタイルブランド「THREE」の価値向上に向けて、国産精油を軸にした新たな事業スキームを構築し、企業や大学、自治体とのアライアンスを拡大している。目指すのは「本物のものづくり」だ。
ウテナは2016年より、ゆずの産地である高知県北川村と連携し、素材の有効活用、農家支援、村の小中学生への教育などを行っている。2022年にはウエルシアグループを含めた三者での包括連携協定を締結し、北川村への支援を一緒に行っているほか、北川村ゆずを活用した商品の開発、プロモーションにも力を入れている。
既存事業や従来のような社内内製化だけでは成長し続けることが困難な時代を迎え、自社の専門性・独自性を活かしながら新たな成長領域を見出せる異業種連携に注目が集まっている。
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