【化粧品業界のSDGs】先進的な企業・取り組み事例を紹介

このコーナーでは、【化粧品業界のSDGs】をテーマに、SDGsに先進的な企業・取り組み事例を紹介していきます。


化粧品業界のSDGsの最新トレンドは?

化粧品業界におけるSDGs(持続可能な開発目標)では、特に環境への配慮、社会的責任、消費者の健康を重視した取り組みが進化しています。具体的なトレンドをいくつか紹介します。

1. プラスチック削減とリサイクル

化粧品業界では、製品のパッケージに使用されるプラスチックの削減が重視されています。リサイクル可能な素材や、生分解性のプラスチックを使用したパッケージが増加しており、これにより廃棄物の削減を目指しています。また、リフィル(詰め替え)製品の展開も増えています。

2. クリーンビューティー

「クリーンビューティー」は、健康に害をおよぼす成分を使用せず、環境に優しい成分で構成された製品を指します。天然由来の成分を使用し、動物実験を行わないクルエルティフリーの製品がますます求められています。また、オーガニックやビーガン認証を持つ製品の需要も高まっています。

3. カーボンニュートラル

多くの化粧品企業が、製造過程や輸送過程における二酸化炭素(CO₂)排出を削減し、カーボンニュートラルを目指しています。一例として、再生可能エネルギーの使用や、森林再生プロジェクトへの投資が挙げられます。消費者もカーボンフットプリントに敏感になっており、環境負荷の少ない製品が選ばれる傾向にあります。

4. サプライチェーンの透明性

サプライチェーン全体での持続可能性が重視されています。特に、原材料の調達から製造までのプロセスで、労働環境や公正取引に関する透明性が求められています。また、倫理的に調達された原料を使用した製品や、フェアトレード認証を取得したブランドが注目されています。

5. 社会貢献活動

SDGsの目標に基づき、企業は社会的な貢献活動にも力を入れています。例えば、女性のエンパワーメントや教育支援、貧困地域での健康改善プロジェクトへの支援など、地域社会への貢献を通じて社会的課題を解決しようとする取り組みが増えています。

6. 持続可能な包装材料の使用

バンブーや紙、ガラスなど、持続可能な資源から作られた包装材料が化粧品業界で人気を集めています。これにより、森林破壊や海洋汚染のリスクを減少させ、より環境に優しい製品を提供することが可能になります。

まとめ

これらのトレンドは、消費者の意識が高まる中で、企業が競争力を維持するために重要な要素となっており、今後もこの流れは続くと予想されます。


大手化粧品メーカーによるSDGsの先進的な取り組み事例は?

日本の大手化粧品メーカーは、SDGsに基づいた取り組みを積極的に進めています。特に環境への配慮や社会貢献活動を強化しており、先進的な事例が注目を集めています。

1. 資生堂

資生堂は、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念に基づき、環境保護と社会的貢献を重視した取り組みを進めています。

カーボンニュートラルとプラスチック削減:2026年までにカーボンニュートラルの達成を目指しています。プラスチック使用量削減を進めつつ、再生可能な素材やリサイクル可能なパッケージを積極的に導入しており、詰め替え製品の普及にも力を入れています。

水資源保護活動:世界各地の水資源保護プロジェクトに参加し、清潔な水へのアクセスが難しい地域での活動も支援しています。

女性のエンパワーメント:女性の社会進出を支援する取り組みとして、教育機会の提供やキャリア支援プログラムを展開しています。

2. 花王

花王は、ESG(環境、社会、ガバナンス)の取り組みを強化しており、「Kirei Lifestyle Plan」を通じてSDGsに貢献しています。

エコにつながるモノづくり推進:環境負荷を最小限に抑えた製品開発を目指し、製品のライフサイクル全体での持続可能性を考慮しています。例えば、パッケージの軽量化やリサイクル素材の使用を進めています。

人と地球にやさしい製品開発: 消費者の健康と環境に配慮した製品を展開しています。特に家庭用洗剤や化粧品での成分安全性の確認や環境への配慮が徹底されています。

水資源保護活動:水資源の保護に向けた取り組みも行っており、製品の製造過程での水使用量削減や、節水製品の開発が進んでいます。

3. コーセー

コーセーは、持続可能な社会を目指して、サステナブルな製品開発や環境保護活動に力を入れています。

商品における取り組み:原料や材料の選択に厳しい基準を設けるだけでなく、使い終わった後の分別しやすさ、廃棄のしやすさ、廃棄量を少なくすることなども考慮して研究開発を行っています。2030年までに4Rに適合した容器包装資材の採用やバイオマス/リサイクル樹脂の採用比率(樹脂量)を50%まで高めることなどに積極的に取り組み、プラスチック容器包装資材についての サステナビリティに配慮した設計率100%を目指しています。

容器・包装における取り組み:化粧品の容器・包装は中身を安定に保ち、使いやすくする機能とともに、製品についての様々な情報や世界観を伝える大切な役割を担っています。しかし化粧品は消費財であり、こうした役目を終えた後の容器・包装物は、いずれゴミとなり廃棄されるため、その時の環境負荷にも配慮して、容器・包装の開発を行っています。

商品内容物における取り組み:化粧品の内容物についても、環境に配慮した原料植物の採用や、使用後の環境負荷にも配慮した商品開発を行なっています。

4. ポーラ・オルビスグループ

ポーラ・オルビスグループでは、ポーラ・オルビスホールディングスCSR事務局が主体となり、サステナビリティ活動を推進しています。具体的な目標の検討を行い、グループ各社と達成に向けた方策を検討しています。

持続可能なパーム油調達:ポーラ・オルビスグループは、2029年までに化粧品で使用するパーム油由来の原料において100%持続可能なパーム油の調達を目標としています。この目標は当社グループの役員報酬(中長期インセンティブ)と連動しています。

廃棄物の再資源化の取り組み:ポーラ・オルビスグループは廃棄物の削減に取り組んでおり、中でも生産の中心であるポーラ化成工業は全産業廃棄物の再資源化に取組み、2003年にゼロエミッションを達成しました。さらに産業廃棄物の有価化・減量化に継続的に取組んでいます。工場から排出された廃棄物を資源化し、社内緑化に活用しています。

ダイバーシティと機会均等:「女性活躍応援企業」として、意欲と能力のある女性従業員の活躍の場の拡大や管理職、役員への登用など、性別に関係なく、一人ひとりの能力を十分に発揮できる環境づくりを推進しています。

まとめ

日本の大手化粧品メーカーは、それぞれの強みを活かして、SDGsの目標達成に向けた具体的な取り組みを展開しており、環境や社会に対して積極的に貢献しています。

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