アイスタイル・吉松徹郎社長兼CEO、マザーズ上場について語る

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アイスタイル・吉松徹郎社長兼CEO、マザーズ上場について語る

 化粧品・美容業界に特化した美容系総合情報ポータルサイト「@cosme(アットコスメ)」の運営を軸に事業展開するアイスタイルグループ(本社=東京都港区、吉松徹郎社長兼CEO)は3月8日、東京証券取引所市場マザーズに上場した。

 吉松社長はその経緯について「設立当初から考えていたこと。生活者の声を持つ企業であることを社内外に証明するために必要と思っていた。2008年頃には上場できる体制にあったが、グループで取り組む『ネットとリアルの融合』をしっかり実現してからという思いがあった」と振り返る。

 リアル店舗アットコスメストアを運営するコスメネクストの利益が前年度黒字になり、グループ各社の企業体質が強固になったのを確認できたことが、上場を後押ししたという。

化粧品業界でネット化進む中、
ネットとリアルの融合を追求
 
 ――まずは今のお気持ちをお聞かせください。

 吉松 想定よりも(上場まで)意外と時間がかかったというのが率直な感想。今年は4月から業界最大手の資生堂が「ワタシプラス」でイーコマースを開始することをはじめ、化粧品業界はネットを積極的に取り入れ、前向きに大きな変化をしようという意欲を感じる。

 業界地図を描けば、かつては大手数社とその他メーカーという超L字型だったが、近年はドクターシーラボやオルビス、ロート製薬に代表される、力のある企業が増え、二等辺三角形のような形になってきた。

 流通に強いメーカーがネットを積極的に取り入れ、逆に、流通ルートを持たないメーカーがネットで話題になることでリアル店舗での取扱いがはじまる。インターネットと化粧品の親和性が図れ、良い商品を開発すれば生活者に評価されるという時代を迎えた。頑張ろうと意欲のある企業も増えている。

 この流れは業界にとっていい傾向であり、ユーザーとメーカーに使ってもらって初めてビジネスが成立する当社にとっては、いい環境が整ってきたと言える。ようやく、これからという感じであり、ネットとリアルの融合をどう実現していくかを今後も追求していく。

 当社のようなサービスはいずれ収れんされていくだろう。新たに独自に取り組むよりも先行しているサービスを活用して別のことに力を注いだ方が効率がいいのではないかと思っている。そういう意味では、アットコスメもメーカーに興味を持ってもらえるサービスがまだ十分ではなく、今後の課題として取り組んでいきたい。

今秋、プレミアム会員の本格展開で
アットコスメの利用価値高める
 
 ――主力事業のアットコスメ、新たに取り組む有料サービス「プレミアム会員」の今後についてお聞かせください。

 吉松 アットコスメユーザーは現在、20~30代女性がメインとなっているが、まだまだユーザーは拡大できると思っている。現状は商品を調べるために使われることがほとんどだが、あるブランドの使い方などのノウハウや求人情報など色々なサービスを付加している。毎日の使い方に新たな提案をし、利用目的を増やすあるいは変えることで、ユーザーは今後も拡大していくと信じている。

 また、事業の柱でもあるメディア広告に関しては、かつてはサイト構築、もしくは新聞・雑誌、あるいはアットコスメといった「or」で捉えられていたが、facebookやTwitterに代表されるSNSの利用率が高まり、各媒体は「and」で結ばれ、全てつながって初めて効果が表れるようになってきている。

 そのため、メーカーの宣伝・販促のかけ方も変化している。「商品を登録し、ある商品についてユーザーがクチコミしてくれて、他のユーザーが見る」だけのサービスならば、そこで完結してしまう。メーカーがもっと生活者とコミュニケーションをとってもらえるよう、グループではネットとリアルを融合するサービスを構築・提案している。プレミアム会員の導入はその一施策だ。

 プレミアム会員は現在、フィーチャーフォンの公式ユーザーのみに限定して展開しているが、今秋までにはスマホやPCなど全ユーザーに対し提供できるように準備している。当然、会員数を増やしていくために、メリットを見出せるようなサービスを考えている。

 具体的には、メーカー主催のイベント、プレゼント企画などの特典や、ショッピングポイント・クーポンサービスなどの仕組みを導入していきたい。化粧品はもともとダイレクトにモノにつながりやすいもの。EC、店舗を運営するグループ内の回遊性を高め、会員メリットを見出せるサービスを提案していく。

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