化粧品受託製造の中堅メーカー・トレミー(本社=東京都府中市)が、国内事業の拡大に加え、アジアをはじめとする世界展開に向けて徐々に動きを強めている。
国内では今期(2012年5月期)、人材育成に投資を集中させるなど企業体質の強化に取り組む一方、海外ではアジアを中心とするマーケット情報の収集に力を注いだ。9月には九州唐津工場(佐賀県)が稼働する予定で、来期以降の成長に期待が膨らんでいる。
また、今夏は国内外で4つの展示会に出展し、世界に向けて発信力も高める考えだ。鈴木隆社長にトレミーの将来像を語ってもらった。
――国内外の戦略について教えてください。
鈴木 国内と海外、両方とも攻めの姿勢が必要だ。そのためには、経営のマネージメントから製造現場までを統括でき、国内外のそれぞれを任せられる人材の育成が不可欠になってくる。今期は人材投資を積極的に行ったが、その芽が徐々に出始めており、共通の目的意識と達成への強い意志をもったスタッフたちに期待している。
国内市場が伸び悩む一方、アジアのマーケットは大きくなっている。この相反する状況の中で、日本とアジアのマーケットをつなげる、つまり海外からの業務を日本の拠点にもってくる事業を展開したい。その際、海外ではつくれない技術、効能・効果の高い製品、特許性の強い商材など、オンリーワンの開発力が重要なポイントになるだろう。今後は、研究開発への投資を一層加速させる。
――さらにその先の未来像を描くとすると。
鈴木 世界全土に我々トレミーの拠点が必ずあるようにしたい。各地域の現地企業とタッグを組むのがベストな方法だと考え、いまは私自身がアジア各地を行脚して情報を集めている。
その第一歩として、昨年6月に上海支社をオープンした。日本企業の代理業務やOEM、原料・資材の輸出入などの面でバックアップしている。
あとは東南アジアだ。メーカー様の関心も高いので、そのフォローをさせていただく必要がある。各クライアント様が進出する意向のあるエリアで、我々が一緒に仕事ができるような状況を早くつくりたい。現状でも最大限の協力は行っているが、もっと具体化させて現地でコントロールできるようにしたい。
東南アジアではタイを拠点にしているが、将来的には独資でやりたい。また、ベトナムでは現地法人と合弁してOEM事業を展開する計画がある。
――アジア戦略には、九州の新工場も重要な役割を担います。
鈴木 九州エリアについては、我々だけではなく、日本企業が一体となり、日本の化粧品文化の情報発信地にしたいという構想をもっている。
新工場は海外戦略の要衝で、中国や韓国などの東アジア諸国との距離が近く、東南アジアへの展開も進めやすい。
フランスには、ロレアルやシャネルなど大手化粧品メーカーの研究施設や工場が集まる拠点「コスメティック・バレー」がある。それと同じように、アジア化粧品の集積地をこの九州に誘致し、販売メーカーや容器メーカー、原料メーカー様などと協同し、オールジャパンで技術力の高い日本の化粧品文化を世界に向けて発信したい。6月には視察のために渡仏し、(コスメティック・バレーの)会長とお会いする予定だ。
こうした戦略や将来構想をアピールする目的で、トレミーは今夏に国内外の4つの展示会に出展する。中でも注目は、第3回コスメティクスジャパン「国際化粧品開発展」(6月27~29日、東京ビッグサイト)だ。
総勢1230社が出展を予定するアジア最大規模の展示会で、鈴木社長が「効果的なOEMの選び方~失敗しないオリジナル化粧品の開発」をテーマに講演を行うことがすでに決定している。(6月27日14時45分~15時45分)
今回は、九州唐津工場を加えた東西3工場での〝創造支援〟を強力に打ち出す方針で、最も多くの集客数を記録した過去2回の展示会の再来をねらっている。
海外からの来場者が多く駆けつけることも展示会の特徴の1つだが、今回は中国の化粧品審査機関「SFDA」の関係者が200人来場することも決まっているため、海外クライアントの獲得にも期待を寄せている。
国内ではこのほか、新工場が立地する九州地区で開催の「第1回福岡国際ビューティー・ショー2012」(6月11~13日、マリンメッセ福岡)に出展し、福岡県や九州、アジア地域の新規顧客の開拓をねらう。
海外では、中国の2大都市である上海と北京の展示会で海外戦略をPRする。
昨年に続き参加する上海の「2012中国美容博覧会」(5月4~6日)では、出展面積を昨年の4倍に拡大させる意気込みで、積極的な売り込みを図る構えだ。
一方、中国の化粧品業界トップらが一堂に会する「第5回中国化粧品大会北京」(7月22~24日)は、通常の展示会とは異なり一般客の来場がないため、BtoBに限定した密度の高い商談が繰り広げられる利点がある。
この記事は週刊粧業 掲載
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