【週刊粧業選定】2012年化粧品業界・日用品業界10大ニュース

カンタンに言うと

【週刊粧業選定】2012年化粧品業界・日用品業界10大ニュース

(1位)大手企業で経営トップの交代相次ぐ

 今年は大手日用品メーカーで経営トップの交代が相次いだ。花王とライオンは、研究畑出身者を経営トップに据える人事を断行し、同時に若返りも図った。

 ライオンの藤重貞慶会長は、1月1日付で社長に就任した濱逸夫氏を、「研究開発者として優れた能力を持つと同時に、マーケティングや営業なども幅広く勉強しており、化学と人情のバランスが取れた最適な人物」と述べて最高の賛辞で後任を推すと、これを受けた濱社長も「真に存在感のある一流の会社にしたい」と応じて盤石の交代劇を強くアピールした。

 一方、花王の尾崎元規会長は、6月28日付で社長に就任した澤田道隆氏を「R&D部門のリーダーを長く務め、基盤研究や応用研究に精通している。また、事業の根幹であるよきモノづくりをグローバルに展開する力量・見識を有しており、スピードをもって合意形成、意思決定ができる人物」と評し、これを受けた澤田社長も「さらなる成長・発展に向け、絶えざる革新の強化、それを活かしたグローバル化の推進に注力していく」と応じ進むべき道を社内外に示した。

 こうして100年以上の長きにわたりイノベーティブな商品の開発を通じて生活者の豊かな暮らしを支え続けてきた両社が、時を同じくして原点回帰ともいえる「研究重視」へと舵を切ったことは、単なる偶然ではない。世の中にない新たな商品・サービスを開発していくことでしか、今日の様々な困難は解決することはできないということの裏返しでもある。

 今後、新たなうねりが巻き起こり、トイレタリー市場が活性化してこそ、このトップ交代の意味は重要性を帯びてくると言えよう。

(2位)低価格スキンケア、大手の参入で競争激化

 卸流通化粧品市場に巻き起こる低価格化は今年も進行し、特にスキンケア分野では大手メーカーの参戦もあり競争が激化した。

 ここ数年、ロート製薬の「肌研(ハダラボ)」を筆頭に低価格帯ブランドが売上げを伸ばす中、苦戦を強いられたのが制度化粧品で、これを放置できないとみた大手メーカーは2010年以降、相次いで低価格帯の新ブランドを立ち上げた。

 資生堂の「専科」やカネボウ化粧品の「潤(うるり)」などが発売された結果、低価格帯のスキンケア市場は活性化され、今年も「Za(ジーエー)」など新ブランドが参入する注目マーケットになっている。さらに、アイテムの特性に目を移すと、複数の機能を持たせたオールインワンタイプやBBクリームなど“時短”や“簡便性”をコンセプトにしたアイテムがヒットしたことでも話題を集めた。

 大手の参入で競争が激化する中、ちふれ化粧品が堅調な経営を続けている。今年4~9月のセルフマーケットの売上高を前年同期比8%増とし、大手の競合ブランドと対等に渡り合っている。

 また、マンダムが“簡単・キレイ”をコンセプトに展開している女性化粧品ブランド「ビフェスタ」も、水クレンジング製品を中心に販売を伸ばしている。同社はさらに、新スキンケアシリーズ「未来美肌」を発売し、低価格帯スキンケア市場に参入した。

 このように低価格帯市場は今後も一層の競争激化が予想される。あるメーカー関係者は「今後、パイは大きく伸びないのではないか。プレーヤーがますます増え、シェア争奪の構図になる」と予想している。

【化粧品日用品業界10大ニュース(3~10位)】
(3位)制度品大手、鳴り物入りで始動の通販が軌道に
(4位)通販大手、相次ぎリブランディングを実施
(5位)SNSを活用したマーケティング戦略が進展
(6位)ヘアケア領域でノンシリコンがブームに
(7位)未だ勢いに衰えがみえない異業種参入
(8位)若年向けエイジングスキンケアで商品投入相次ぐ
(9位)日雑卸・小売各社、シニアシフトの姿勢鮮明に
(10位)化粧品出荷額、前年実績超えが不透明に
(番外)市場が低迷する中、拡大続けるOEM業界
(番外)化粧品原料、効果訴求からイメージ重視へ

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