東南アジア諸国連合(ASEAN)は近年、人口増や所得水準の向上などを背景に目覚ましい経済発展を遂げ、世界各国から有望な事業展開先として高い注目を集めている。
そこで、今特集ではASEANに進出している化粧品メーカー4社と、容器・OEMメーカー3社の計7社の日系有力企業にスポットをあて、各社の商品施策や経営戦略などを紹介する。
さらに、ASEAN化粧品市場の調査・分析を行う矢野経済研究所の浅井潤司氏(写真)に、ASEAN化粧品市場の最新動向と今後の市場展望についてインタビューした。(記事詳細はこちら)
現地パートナーと連携した流通網構築と
中間層に向けた戦略ブランドの展開が鍵
――経済成長が著しいASEANで、化粧品市場の動向についてどのように捉えているのか。
浅井 ASEANの中でも比較的、経済発展が進んでいるのが「ASEAN5」(タイ・インドネシア・フィリピン・マレーシア・ベトナム)と呼ばれる5カ国で、ここではASEAN5の化粧品市場を中心に紹介したい。
全体感としては、各国ともに市場が順調に伸びている。当社が実施したASEAN5の化粧品市場規模調査によると、2012年は8882億2000万円(円換算、小売ベース)で、これは韓国の市場規模に匹敵する数字だ。
国別でみると、最も市場規模が大きいのがタイ(3135億円)で、次いでインドネシア(2320億円)、フィリピン(1944億円)、マレーシア(1056億円)、ベトナム(427億2000万円)の順となっている。
日本と比較すれば未だ市場規模は小さく、1人あたりの名目GDPも3~22%程度だが、タイを除くASEAN5各国では基本的に30歳以下の人口構成比が非常に高い。また、人口増加率も上昇傾向にあることから、今後も引き続き経済成長が見込めるものと推測される。
――ASEAN5各国に共通する特徴とは。
浅井 組織小売業やGMS、スーパーセンターなどの近代化店舗が少なく、パパママストアのような個店、あるいは卸売市場というように、大半はこうしたトラディショナル流通がメインとなっている。
タイやマレーシアでは、近代化店舗の比率が徐々に上がってきているが、基本的には各国ともに中間流通が弱いので、現地の大手パートナーとタッグを組んで彼らに一任するというスタイルが現状では得策だろう。特に、1万7千以上の島々から構成されるインドネシアでは、現地のパートナーとの連携が流通面で大きなポイントになる。
マーケティングに関して言えば、ASEAN5は中間層が多いのが特徴的で、ここをどう攻略していくかが重要なテーマだ。さらに、見逃してはならないのが貧困層の存在で、このまま経済成長が続けば貧困層の人々は中間層に移り、そして中間層も富裕層へと移行することが予測される。
現状で、中間層と貧困層の両方に上手くアプローチできている企業はマンダムとユニリーバだ。両社ともに展開している商品のサイズバリエーションが豊富で、1回使い切りのパウチタイプから通常のボトルサイズまで取り揃えている。
展開する商品のサイズが多くなれば、同時に価格帯も幅が広くなり、こうしたマーケティング戦略は中間層と貧困層が多数を占めるASEAN5において、今後もますます重要なポイントになるだろう。(以下、省略)
ASEAN5各国の市場概況について
●インドネシア
●マレーシア
●フィリピン
●タイ
●ベトナム
「ブランディング強化」で独自性高め、「外部資源の活用」が成長の追い風に
――すでに進出している日本企業が、今後さらに成長していくためには何が必要か。
――今後進出を目指す企業が取り組むべきことは。
【掲載企業一覧】
◎資生堂、中間所得層向け攻略ブランド「Za」に注力~タイで戦略モデルを確立し、ASEAN全域へ展開
◎マンダム、インドネシアで商品・流通ルートを拡大中~キッズコスメ、女性ヘアケアにも参入
◎ACRO、今年進出したタイで「THREE」が好発進~現地大手流通グループと連携、初年度7店舗を目指す
◎ナリス化粧品、東南アジア市場の深耕を本格化~タイの有力メーカーと合弁会社を設立
◎エフシー中央薬理研究所、市場の将来性と良好なビジネス環境が進出の源泉~2年後めどに、タイで月商平均7000~8000万円めざす
◎三葵コーポレーション、タイ・現地メーカーの開拓を推進~化粧品容器の生産設備を増強、コスト対応に意欲
◎大日本印刷、急成長するASEAN地域へ高品質なパッケージ提供~ベトナム工場を竣工し、製造拠点を増強
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この記事は週刊粧業 掲載
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