週刊粧業 2013年10月21日号 12ページ
ライオンでは今期(2013年12月期)、平井研究所の第二期増設工事を完了し、ほぼ全ての研究開発機能を1カ所に集結させ、イノベーションに向けた基盤整備を行っている。
掬川正純取締役執行役員に研究開発の現状と今後の展望について話を伺った。
商品開発の方向性探るうえで
研究員による家庭訪問を活発化
――ニーズがますます多様化する中、今の研究員の皆さんはどういう仕事の進め方をされているのですか。
掬川 当社では、商品開発を担当している開発研究所のメンバーと、技術シーズを基礎的に探索しているメンバー、主幹業務をサポートする分析や香料開発などのメンバーの3タイプに分類することができます。
開発研究所のメンバーは、新商品の処方やパッケージを開発するのが主たる業務ですが、お客様にはどのようなニーズがあり、実際に商品がどのように使用されているのかを把握することは彼らにとって最も重要視すべきことであります。
ですから研究員は、実験台に向かってビーカーを扱うということだけではなく、消費者の使用実態をつぶさに観察するため、かなり多くの時間を消費者インタビューや家庭訪問に割いています。
当社では毎年、消費者使用実態調査を行い、レポートを作成していますが、それを活用するだけでは消費者のリアルな使用実態に迫ることはできませんので、実際に家庭訪問を通じてお客様がどのように商品を使用しているのかを生活シーンに入り込み、正確に把握することがとても大事になってきます。
研究員は皆、こうした認識を非常に強く持っていますので、家庭訪問などに割く時間はかなり多くなってきおり、この10年ぐらいでそのウエイトは高まってきています。
――「百聞は一見にしかず」ということわざがありますが、実際そう思われますか。
掬川 例えば、消費者が洗濯物の汚れ落ちをどのように評価しているのかを考えた場合、洗濯後のタオルや下着を目視していると考えがちですが、実際にはかなり多くの消費者がニオイを嗅いで汚れ落ちを確認しています。
もし、消費者アンケートで洗濯物の汚れ落ちを尋ねた場合、おそらく普段は洗濯物の汚れ落ちを何気なくニオイを嗅いで確認している方でも、洗濯物を目視して判断していると回答するのではないでしょうか。
家庭訪問を通して、洗濯すべきか否かの判断や洗い上がりの判断を、ニオイを嗅いで決定している消費者が増えているということを突き止めた結果、ニオイ汚れを元から落とすことを訴求した超コンパクト衣料用液体洗剤「トップ NANOX」の開発に着手することができました。
研究員が、どのような方向に商品の機能を高めていったらいいのかを考えるうえで使用実態を把握することは重要ですし、今後、この活動をさらに活発化していきます。
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この記事は週刊粧業 2013年10月21日号 12ページ 掲載
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