花王 澤田道隆社長、化粧品事業を今後の成長の柱に

週刊粧業 2016年1月1日号 12ページ

カンタンに言うと

花王 澤田道隆社長、化粧品事業を今後の成長の柱に
 花王は、「中期3カ年計画K15」の最終年度にあたる2015年度、資産の最大活用により付加価値をさらに高める「脱デフレ型成長モデル」の構築が想定以上に進み、唯一残された数値目標である連結営業利益1500億円の達成を射程圏内に捉えた。

 2016年は、新中期経営計画「K20」の策定、新会社「花王グループカスタマーマーケティング」の設立、「カネボウ」のブランド改革など今後の成長を下支えする施策が控えており、極めて重要な年となりそうだ。

 澤田道隆社長に昨年度の回顧と今年度の基本方針を中心にインタビューした。

6期連続の増収増益、
中期3カ年計画「K15」も達成へ

 ――まずは、昨年1年間を振り返っていただけますか。

 澤田 2015年は、一言でいうといい状況で推移しました。第3四半期で利益を上方修正しましたが、この公表値をクリアできれば、6期連続の増収増益、中期3カ年計画「K15」の達成が見えてきます。前年に売上・利益とも過去最高を更新していますので、増収増益が続くということはすなわち過去最高の更新が続くということです。

 当社が現在、非常にいい状況で推移している要因は大きく3つあります。

 1つ目として、「日本のトイレタリー・化粧品・家庭品市場にゆとりが出てきた」ことが挙げられます。店頭での安売り合戦が影を潜め、製配販の中に「高付加価値品を育成していこう」という機運が高まってきましたので、高付加価値化を基本とする花王の商品が売れ、結果としてシェアも27カ月連続で上昇し続けています。

 2つ目の理由は、原料安のメリットを享受できたことです。おそらく100億円を超える利益増に結びついています。円安も落ち着いてきましたので、原料安だけがプラス影響となっています。

 3つ目として、アジアの家庭品が好調なことが挙げられます。

 このように3つの要因が好調を支えていますが、これらはあくまでも目に見える部分であって、目に見えない部分がしっかりと機能したことが大きいと考えています。目に見えない部分とは、資産の最大活用により付加価値をさらに高める「脱デフレ型成長モデル」です。

 積極的に投資を行ったとしても、今の資産を最大限活用する術を身につけていないと、その投資がうまく活かされません。

 そういう視点で2013年にまず「資産の最大活用」という考え方を社内に浸透させ、「利益を出せるモデルづくり」に取り組みました。それが定着してきましたので、2014年からは、費用をうまく使って売上・利益を増やし、得た利益をさらに高付加価値化に投資し、成長をし続けるという「脱デフレ型成長モデル」を推進しています。今ではメンバー一人ひとりが自分事化しており、プレゼン資料の中には「資産の最大活用」という視点が必ず入っています。

 2013年からの3年間で、「資産の最大活用」が浸透し、「脱デフレ型成長モデル」がしっかりと機能する体制が整ってきましたので、これまでにないレベルの投資を行っています。花王の総投資額は、2012年まで400~500億円で推移していましたが、15年には800億円を超えるレベルと年々投資額を増やしています。

 その投資は短期的に効くものと、中長期的に効くものといろいろありますが、資産の最大活用が自分事化され、資産を効果的に使えていることが、結果として目に見える3つの要因となって表れています。

 2013年から訴え続けてきた「資産の最大活用」が実践できてきており、これは2016年以降もベースとして残っていきます。2016年もいろいろなアップダウンが起こるかと思いますが、しっかりした基盤が整ってきましたので、いかなる困難にも耐えられるはずです。

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