2017年卸業界展望、訪日客が内需下支えする間に次の一手を

週刊粧業 2017年1月30日号 1ページ

カンタンに言うと

2017年卸業界展望、訪日客が内需下支えする間に次の一手を
 2016年3月期に設立以降の過去最高売上高を計上したJ-NET(本社=東京)が、卸業界への発言力が備わった大手の一角として問屋・商社のビズネスが転換期に差し掛かったと提言している。

 提言の前提では、人口減少社会が深刻化しても小売業とともに卸が生き抜いていける道筋の模索や、また、いまだに一部のメディアが固執している旧態な「卸無用論」を完全に排斥しようといった願望が根拠になっている。

 J-NETが主張する業界論の場合、いわゆるメガ卸が株主と顧客の両社を尊重して発信する考えとは異なり、根っこにある地域卸としての目線で商圏やメーカーの繁栄までを織り込んでいる点が特徴といえそうだ。

 折しも業界各社の春夏展示会ラッシュが始まる今、町田光一執行役員の考えに触れることは損がないかもしれない。

インバウンドが一服も次の波を直視
小売と協調した「コト体験」に期待

 2016年9月の本紙「卸特集」で取材の機会を得た際、町田執行役員は話題が沸き立つ外国人旅行者によるインバウンド需要に関し、小売業が過剰に入れ込んでは「本来の、最も大切なお客様を見失ってしまう」といった趣旨の指摘をしていた。

 実際、そうした町田氏の指摘が的を射ていたと理解できる事例は巷に少なくない。

 この点に関し、町田氏は「東京・銀座のデパートの中国人向け売り場には人がいない。もったいないと思う」としたうえで、小売業と運命共同体をなす立場から「入れ込んだ過去がわからないではない。爆買いが収束した今、外国人観光客が通常の買い物をしている」という実態を捉え、今後は「日本をどう楽しんでもらえるか。『コト体験』に付随する消費が本格的に生まれれば、産業にプラスになる」中で、卸が販売先に貢献できる機会が生じるだろうと見通している。

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