花王、唾液中のオキシトシン量と肌の質感との関連性を確認

粧業日報 2018年7月20日号 4ページ

花王、唾液中のオキシトシン量と肌の質感との関連性を確認
 花王感性科学研究所、スキンケア研究所、メイクアップ研究所は、快感情を喚起する刺激に着目したスキンケア研究を行う中、「快感情を喚起する触覚刺激により、唾液中のオキシトシン量が増加すること」「唾液中のオキシトシン量が多いほど、肌の質感スコア(見た目の肌状態)が高いこと」を見出した。

 オキシトシンは、脳の視床下部で合成されるホルモンのひとつで、スキンシップを積極的に行うと出やすくなることが研究でわかっており、愛着関係を深めたり、ストレスを軽くしたり、情緒を安定させたりするなどの働きがある。

 まずはじめに、20~49歳の大きな肌トラブルがない女性33名を対象に、快感情を喚起する触覚刺激による生理変化が肌状態に及ぼす影響を検討した。

 快感情を喚起することが報告されているチークブラシを用いて速さ(約3cm/秒)、荷重(約20~40g)で前腕伸側部を撫でる刺激を、1日2回(朝と晩、3分間/回)、4週間継続してもらい(継続的な触覚刺激)、触覚刺激前後の唾液を採取し唾液中のホルモン量の変化率を算出した結果、快感情を喚起する継続的な触覚刺激により、唾液中のオキシトシン量が増加することを確認した。

 続いて、20~49歳の大きな肌トラブルがない女性89名を対象に、唾液中のオキシトシン量を測定し、肌の質感スコア(見た目の肌状態)を、一定の評価基準で客観的な目視評価のトレーニングをした専門家により、肌の質感を7段階で評価してもらった結果、唾液中のオキシトシン量と肌の質感スコア(キメの整い感、色むら、つや、肌表面のなめらかさ)とが、弱い正の相関を示した。

 さらに、20~39歳の大きな肌トラブルがない女性40名に対して、スキンケア行動のひとつとして、顔肌を両手で包み込むように(ハンドプレスによる触覚刺激)30秒間触れた後、顔から手を離して30秒間安静にする試行を、全5回繰り返し行ってもらった。その結果、唾液中のオキシトシン量変化率は、顔肌への触覚刺激前後の快感情の評価値差分(喚起度合い)に対して、弱い正の相関を示した。

 つまり、一連の実験により、ハンドプレスなどのスキンケア時の触覚刺激による快感情の喚起度合いに応じて、生体内のオキシトシン量が増加し、肌の質感が向上することが示唆された。
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