資生堂、レチノールに首のしわを改善させる効果を発見

粧業日報 2018年9月19日号 1ページ

資生堂、レチノールに首のしわを改善させる効果を発見
 資生堂は、レチノールの新たな効果として、「首のしわの改善効果」「8週間での改善効果」「真皮への作用」の3点を見出した。

 同社は昨年、有効成分レチノールによるしわ改善効能効果に対し厚生労働省から承認を取得した後も、その有効性について追求を行い、今回、首のしわと年齢には相関があることを実証するとともに、首のしわを改善する作用がレチノールにあることを発見した。今後も、しわを改善できる有効成分として認められたレチノールを配合した製品(医薬部外品)を製造販売できる国内唯一のメーカーとして、同成分の研究を進め製品へと応用していく。

 同社は日本人女性(84名、41歳~69歳、平均56歳)を対象として、レチノールによる首のしわに対する有効性試験を行い、「レチノールを配合したクリーム基剤を使用した被験者の群(レチノール配合品群)」と「レチノールを配合しないクリーム基剤を使用した被験者の群(レチノール無配合品群)」に分け、1日2回(朝晩)の頻度で首にクリーム基剤を12週間塗布した。さらにこの12週間の連用後、使用を止めて2週間後(試験開始から14週後)にも評価した。

 首のしわを直接目視して判定した結果、レチノール無配合品群では、首のしわの程度に変化は見られなかった一方、レチノール配合品群では塗布した期間とともに首のしわが減少し、8週後に有意な減少を認め、12週後にはさらに首のしわが減少した。また2週間連用を止めた後も、レチノール配合品群はしわを減少させたままだった。これはレチノールに効果の持続性があり、しわがすぐ戻らないような状態に変化させている可能性を示唆しているという。

 また首のしわをレプリカ解析による機器で評価した結果、レチノール無配合品群に変化は見られなかった一方、レチノール配合品群は、8週後、12週後で首のシワ面積率を有意に減少させた。

 つまり、「首のしわの程度を直接目視して判定した視感判定」と「レプリカ解析による機器での評価」の両方において、レチノール配合品は有意に首のしわを減少させたことから、レチノールに首のしわを改善する有効性が認められた。

 また、レチノール配合クリーム基剤を使用する前には首の中央部に深く目立つしわが存在していたが、8週後にはしわは薄くなり、首全体の肌表面のざらつき感も改善された。

 さらに、レチノールの真皮への作用を調べるべく、ヒトの皮膚で解析を行った結果、細胞レベルでは、培養したヒトの線維芽細胞にレチノールを添加すると、Ⅰ型コラーゲンの産生を顕著に促進した。また、ヒトの皮膚では超音波によって皮膚断層画像を測定し、真皮を構成する成分を解析した結果、レチノールを配合したクリーム基剤を連用すると4週後から真皮を構成する成分の密度が高まることを認め、レチノールは真皮構造の再構築に寄与ししわを改善している可能性が示唆された。
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