JCC(ジャパン・コスメティックセンター)は11月16日、設立5周年の記念式典を佐賀県唐津市内で開催した。
国際的コスメティッククラスターの創造を目指して2013年11月に設立されたJCCは、唐津市をアジアに開かれたコスメ産業の集積地、そしてビジネス交流のプラットフォームとするべく、活動を行ってきた。
現在、201社の会員企業と27の支援団体によって構成されるJCCは、フランス、イタリア、スペイン、台湾、タイの5つの海外クラスターと提携を結び、20カ国の企業と交流を持つなど、国際取引の商談件数は30件を超えた。地域の農産物を活用した原料開発では、これまで152種類の素材から1481種のサンプルが製造されている。
効能効果の評価・分析や業界へ向けての営業・PRを実施してきた結果、地元の素材を活用し、20ブランドから50商品が開発・販売された。また、商品開発、原料開発、国内外の市場動向など様々なビジネスニーズに対応した勉強会やセミナーをこれまで43回開催しており、参加者は延べ2903名にものぼる。
産学連携による取り組みでは、共同研究の成果が学会誌に4件論文掲載され、特許申請中の技術も出てきている。また、JCCの活動がきっかけとなり、佐賀県内で異業種からコスメビジネスへ参入した企業は11社、新しく事業を起こした企業は4社となった。
式典の冒頭で挨拶したJCC代表理事の山﨑信二氏(ブルーム社長)は、「JCCこれまでの5年間と未来に向けて」と題したプレゼンテーションの中で、「設立からの5年間はクラスター形成の基盤となる種まきの期間と位置づけ、様々な企業、大学、専門機関が一堂に集えるプラットフォームを構築してきた。その結果、これまでの活動から新しい芽が生まれ始めている。これからは、マーチャンダイジングの力を高め、企業や地域の情報触媒としてのメディアとなり、クラスター機能としての研究開発、産学連携、情報提供に引き続き取り組み、さらなる産業集積を進めていく」と語った。
唐津市の峰達郎市長は祝辞として「JCCが、国内外問わずビジネスマッチングや連携、誘致活動、地産素材の製品化などを進めてきた成果が形になってきたと感じている。国が大きな柱として掲げている地方創生への取り組みとして、コスメティック構想は現在大きな注目を集めている。地域経済をいかにして持続的に発展させていくのかという問題意識の中で、将来を見据えた成長産業のリーディングプロジェクトとしてコスメティック構想に取り組んでいるところであり、今後も市として新たな産業の創出、地域産業の活性化を目指し、JCCの活動を全力で支援していく」と述べた。
その後、岩瀬由典氏(岩瀬コスファ社長、JCC理事)、暮部達夫氏(クレコス社長、JCC理事)、松尾聡子氏(バーズプランニング社長)の3名によるパネルディスカッションが行われた。
岩瀬氏は、「日本の化粧品業界は大きく伸びているが、他の国も日本に追いつこうとしているのが現状だ」と話し、JCCに期待することとして「他国に追いつかれる前に、唐津を世界一のコスメの町にしていきたい。企業を集積したり、総合研究所を作ったり、クラスターの創造を推進してほしい」と語った。
暮部氏は、「ここ数年地方発のコスメが数々生まれている。その流れが今後も続いていく中で、JCCは重要な役割を担っていくだろう。こうした、地方発の商品を発信していく取り組みをさらに発展させていくために我々も努力していく」と話した。
唐津市の離島・加唐島に自生する天然のヤブツバキから絞った油を使用した無添加せっけん「ツバキサボン」を作った松尾氏は、「町と人を豊かにする環境づくりをしていきたいという思いでコスメづくりを始めた。私がやりたかったことをJCCが実現させてくれた。JCCにはコスメビジネスを始める上で、非常に恵まれた環境が整えられている」とコメントした。