コーセーコスメトロジー研究財団、第30回表彰・贈呈式を開催

粧業日報 2019年11月28日号 2ページ

コーセーコスメトロジー研究財団、第30回表彰・贈呈式を開催
 コーセーが社会貢献の取り組みの1つとして支援を行っている公益財団法人コーセーコスメトロジー研究財団は11月19日、「第30回表彰・贈呈式」をステーションコンファレンス東京にて開催した。

 同研究財団は、コスメトロジー(化粧品学)に関する調査研究に対する助成を行うことにより、広く生活者の保健衛生の向上を図り、美しく豊かな人間生活の実現に寄与することを目的として、1990年にコーセー創業者の小林孝三郎氏により設立された。以来毎年、化粧品に関連する幅広い分野における特に優れた研究課題を表彰し、研究助成を行っている。

 第30回目となる今年度は、全国の主要大学、病院、公的研究機関からの応募125件に対し、選考委員による厳正な審査を行い、特に優れた化粧品関連の研究課題に対し、37件(素材・物性に関する分野:13件、生体作用・安全性に関する分野:19件、精神・文化に関する分野:5件)の表彰を行った。

 小林保清理事長は冒頭の挨拶で、「当財団は、コーセー創業者の小林孝三郎が皮膚科学や物理化学などの自然科学に加え、心理や感性、文化にも及ぶ学際的で幅広い研究の集約が必要と考え、1990年に設立した。本年で30回目を迎えた研究助成は、累計で助成件数700件以上、助成金総額は8億円を超えた。企業活動とより一体感をもって研究助成事業が社会に認められることを目指し、今回より財団の名称を『公益財団法人コーセーコスメトロジー研究財団』へ変更する。また、来年2020年の財団設立30周年を記念し、新しく大学講座等への研究助成事業を開始する。当財団は引き続き、人々の美しく豊かな生活の実現と化粧品産業の発展に貢献していきたいと考えている」と述べた。

 続いて、二木鋭雄選考委員会委員長が、「本年の応募総数は125件であり、過去最高に並ぶ応募数だった。例年通り『素材・物性』『生体作用・安全性』『精神・文化』の3分野の選考委員の専門的視点で、独創性、発展性、実用の可能性、コスメトロジーへの波及性について採点・推薦いただき、選考委員会で慎重な審議を行って候補者を選定し、37件の研究課題を採択した。応募課題は年々レベルアップしており、いずれも興味深いテーマでありながら、採点のわずかな差で当落が分かれるケースが見受けられ、大変厳しい選考だった。選考全体を通じ、今年採択された研究課題は、独創性が高い、ユニークなものが例年に増して数多く選ばれたと感じる。独自の視点を盛り込んだ研究課題が増えることは、コスメトロジーの将来に向けて新しい力になるものと期待している。幅広い学問分野にまたがるコスメトロジーの集約をめざしてきた財団の活動が、徐々に実りつつあると、大変喜ばしく受け止めている」と総評を語った。

 第2部の記念講演では、帝京大学薬学部長の奥直人教授が「リポソーム研究の魅力」というタイトルで講演を行った。

 「コスメデコルテ モイスチュア リポソーム」をはじめとして、同社製品とも深い関係があるリポソーム研究の最新動向について、生体膜モデルとしてのリポソームの基礎研究から、リポソーム技術を利用したドラッグデリバリーシステム(DDS)、脳梗塞や自己免疫疾患の治療へのリポソーム製剤の応用に至るまで、長年にわたる研究成果が披露された。
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