コーセー、デジタル技術の活用でパーソナライズ提案を開始

粧業日報 2019年12月13日号 2ページ

カンタンに言うと

  • パナソニックと協業へ向け実証実験始動、Maison KOSÉに導入
  • 理想顔を短時間で導き出し、最適な商品やテクニックを提案
コーセー、デジタル技術の活用でパーソナライズ提案を開始
 コーセーは、パナソニックとともに、デジタル技術を活用して、顧客の多様なニーズに応える新しいパーソナライズ提案を進める。

 現在、生活者の価値観やライフスタイルは多様化し、化粧品に求めるニーズ自体が百人百様の時代となる一方で、インターネットやSNSの普及などにより情報があふれ、本当に自分に合った化粧品を選ぶことがかえって難しい場面も増えている。

 そのような悩みの解決策の1つが、デジタル技術とデータを活用した顧客一人ひとりに最適な商品とサービスを紹介するパーソナライズ提案であり、その提案を体験できる場として、同社が12月17日に銀座にオープンする体験型の新コンセプトストア「Maison KOSÉ」内に、パナソニックが開発中の「Snow Beauty Mirror」を設置する。

 同社と明治大学との共同研究で開発した「理想顔システム」を搭載するとともに、顧客一人ひとりの肌色に合わせた「カスタマイズシート(仮称)」の展開に着手する。

理想顔を短時間で導き出し、
最適な商品やテクニックを提案

 「Snow Beauty Mirror」は、鏡の前に座るだけで、顧客の肌状態を分析し、瞬時に数値化し表示する。鏡の中に埋め込まれた非接触センサーが、肌表面と表面下の状態を検出。医療機器と同等レベルの精度で、肌表面のシミ・シワ・ほうれい線・毛穴・肌色だけでなく、目では見えない隠れたシミも検出する。

 デジタルカウンセリングとその分析結果をもとに、同社の展開する複数のブランドを横断した最適な商品やサービスから、顧客に最適なアイテムをリコメンドする。

 また、分析結果はデータとして蓄積されるため、過去の肌状態との変化を画像やスコアで比較確認できる。この機能には、デジタルカメラなどで利用される顔認識技術や、画像処理技術などを応用している。

 「理想顔システム」は、素顔の画像から、顧客の心の中にあるなりたい理想顔を見える化する、同社と明治大学との共同研究で開発した遺伝的アルゴリズムを、パナソニックの高いセンシング技術を有する「Snow Beauty Mirror」へ搭載し、実現したもので、撮影した素顔画像のデータから、毛穴・シミ・シワ・肌の色味・明るさのデータを高精度に抽出し、ランダムに表示した十数枚の画像イメージの中から、顧客が好みのものを数点選ぶ手順を数回繰り返すことで、約50万通りの顔画像パターンから、顧客の理想顔を短時間で導き出す。

 続いて、その理想顔に近づけるために変化させるべき要素を表示し、最適なファンデーションの色味や質感、美しく思い通りに仕上げるためのテクニックを提案する。

 「カスタマイズシート(仮称)」は、気になる頬部位・こめかみ部位をカバーする超極薄(厚さ100ナノメートル)のシートで、パナソニックが開発中の「メイクアップシート」と同社の化粧品開発知見との融合により、肌に自然になじむ色味・装着感を実現した。「Snow Beauty Mirror」で分析した肌色測色結果から、一人ひとりの肌に合わせた色味のシートを作成。水で湿らせるだけで、簡単に貼り付けたり剥がし取ることができる。

 今後は、この「Snow Beauty Mirror」の展開を拡大しながら商品紹介やアドバイスの精度を向上させることで、パーソナル提案をより一層進化させていく。

 また、蓄積した多様なデータや顧客の声を集計、分析し、量子コンピュータによる処方解析などとも連携させながら、新たな商品開発や処方の最適化、新知見への応用などのイノベーションにつなげていく。
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