資生堂、世界で初めて皮膚のリンパ管の老化メカニズムを解明

粧業日報 2020年11月6日号 1ページ

カンタンに言うと

  • 桑の根エキスにリンパ管老化抑制効果を発見
資生堂、世界で初めて皮膚のリンパ管の老化メカニズムを解明
 資生堂は、独自に開発した皮膚可視化技術を活用することにより、皮膚のリンパ管の老化メカニズムを世界で初めて解明した。

 さらに、東京医科歯科大学との共同研究により、リンパ管の老化抑制効果を検証する試験法を開発し、薬剤の探索を行った結果、桑の根エキスに顕著な老化抑制効果を発見した。

 これまでは、加齢によって皮膚のリンパ管の密度が減少することは知られていたが、そのメカニズムについては解明されていなかった。今回の研究成果をもとに、リンパ管の機能に着目した皮膚老化の改善につながる新たな技術の開発を行っていく。

 なお、今回の研究成果の一部は第49回欧州研究皮膚科学会にて発表している。

 リンパ管は、一般的に人体の余分な水分や老廃物を運搬して排出する機能が知られており、特に皮膚のリンパ管は、リンパの流れの開始点として皮膚の老廃物を回収するという特徴がある。

 これまでは一般的に皮膚のリンパ管は深いところに存在していると捉えられており、日常生活においてリンパマッサージのような強い刺激でしかアプローチできないと考えられていたが、同社の独自技術である皮膚のリンパ管の可視化技術により、リンパ管が皮膚の直下まではり巡らされていることが確認され、リンパ管が皮膚表面において重要な役割を担っていることが示唆された。



 また、近年は医療分野において、眼のリンパ管といわれるシュレム管が老化に伴うリンパ管内皮細胞の形質転換により、機能が不全になり、緑内障を発症するという報告がなされるなど、リンパ管の老化メカニズムが注目されている。

 そこで今回、同社はリンパ管内皮細胞の「形質転換」に着目し、リンパ管の機能改善・皮膚老化の抑制を目的とした皮膚のリンパ管の老化メカニズムを検討。リンパ管の老化メカニズムを解明すべく、皮膚組織内でリンパ管内皮細胞が形質転換する像を免疫組織化学染色で可視化したところ、加齢した皮膚で老化リンパ管が多く観察された。
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