東洋ビューティ、自社開発処方を増やし幅広いニーズに対応

C&T 2020年12月15日号 51ページ

カンタンに言うと

  • 抗シワ評価のノウハウ活かし市場で差別化
東洋ビューティ、自社開発処方を増やし幅広いニーズに対応
 化粧品・医薬部外品ODM/OEMの国内大手である東洋ビューティは、イノベーションセンター中央研究所(大阪)と宇都宮研究所(栃木)の東西2拠点・研究員約120名体制で、研究開発に取り組んでいる。

 イノベーションセンターでは、処方開発に加えて、新規原料の開発や有効性試験によるエビデンス取得にも取り組んでいる。

 製品開発統括部では、3年前から専門領域の強化に向け、スキンケア部門とヘアケア部門に分けて開発を行っている。

 製品開発統括部の統括部長で宇都宮研究所所長を兼任する伊藤雅大氏は、「これまで蓄積してきたノウハウを活かし、さらに専門性を高めるのが狙い」と話す。

 シワ改善薬用化粧品の開発も、世間のニーズを見据えてスタートした。様々な有効成分を用いた処方開発を進めている。昨今の顧客ニーズの高まりを受け、これから伸ばしていく領域の1つに位置づけ、社内での独自処方開発も進めている。

 同社の抗シワ研究は、化粧品の新効能表現として「乾燥による小ジワを目立たなくする」が認められ、ガイドラインが策定されたことも大きかった。2011年のことだ。

 「それまでは論文や業界の情報を基に抗シワ試験を検討してきたが、ガイドラインの策定も追い風となり、より一層、開発スピードを上げて処方数を増やしてきた」(伊藤氏)

 シワ改善薬用化粧品の研究開発も、化粧品の「乾燥による小ジワ」に関する評価試験の実績・ノウハウを基盤に進めている。

 「これまで使用前例のない原料もあったため、安全性に関しては特に慎重に取り組んでいる。そのため、開発当初は製品化までに時間がかかってしまったが、配合比率や承認申請のノウハウも徐々に蓄積されてきており、これから開発スピードを上げていく。また、今後は他の成分との組み合わせや特徴的な使用感の付与、エビデンスデータの見せ方など自社処方の強みを活かしていく」(伊藤氏)

 シワ改善薬用化粧品の市場性については、「化粧品で抗シワ効能を広告で表現しようとすると、試験費用がかかってしまうが、薬用化粧品は承認が得られれば標榜できる。そういった点からも需要は増えてくるのではないかと想定している。要望があった際にすぐに対応できるよう、薬事部や営業部との連携強化も図っている。抗シワ対応の開発処方は複数保有しており、それらを応用することで製品の幅を広げていく」(伊藤氏)。

 もちろん、シワ改善薬用化粧品以外の分野にも視野を広げている。今期からは、「サステナブル」をコンセプトにした化粧品も開発の重点領域に位置づけている。

 「いずれも大手のメーカーが積極的に開発に取り組んでいる領域であり、だからこそ、当社も力を入れて研究開発力のアピールにつなげたいと考えている。『サステナブル』に関しては、研究開発部門だけでなく、様々な部署との関わりも深い。製造部門とも連携し、例えば製造時間を短縮する工程も検討するなど、企業としてどう取り組めるかどうかも検討する必要がある」(伊藤氏)

 製品開発では、使用する原料の選択から取り組んでいる。RSPO認証原料など環境負荷の少ない原料への切り替えも検討し、製品開発を行っている。

 伊藤氏は「今後さらに求められる部分」と「環境配慮」の2軸での開発を推進していく考えを示した。
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