ライオン 掬川正純社長、サステナビリティへの対応を強化

週刊粧業 2021年1月1日号 66ページ

ライオン 掬川正純社長、サステナビリティへの対応を強化
 2020年は新型コロナウイルス感染症による地球規模でのパンデミックが政治、経済、社会活動などに我々がかつて経験したことがないほどの大きな影響を及ぼしました。

 このパンデミックが私たちの社会に与えた影響は経済の急激な縮小など多くは大変ネガティブなものでしたが、一方で私たちに改めて自らの業界の存在意義を考える機会を与えてくれたと見ることもできると思います。

 感染予防に直接貢献するマスクやハンドソープ、消毒液だけではなく、日々使用される日用品の存在が、人々の暮らしを支え、人々の安心を支えており、それらを安定して提供し続けることがいかに重要なことであるのかを再認識する機会となったのではないでしょうか。

 感染の不安を感じながらも製品の生産に従事された方々、その輸送にあたった方々、そして店頭で直接お客様に製品をお届けされた方々、それら全ての方々の献身的な活動が、かつてない程困難な状況で不安を抱えながら暮らしている人々の大きな支えになったことは確かです。

 当社も業界の一員として取り扱い商品の重要性を改めて認識し、生産体制の整備、物流体制の強靭化などのBCPに関わる諸施策に取り組んでまいります。

 さらに、生活に欠かせない商品をお届けすることだけではなく、その商品を通じた生活習慣づくりの大切さにも気づかされたのではないでしょうか。

 今回のパンデミックでは特に手洗いの重要性が強調されましたが、こうした正しい習慣づくりが人々の健康維持に大きな役割を果たしていることが改めて認識されました。

 当社では2018年、自らの存在意義(パーパス)を「より良い生活習慣作りを通じて人々の毎日に貢献する」と再定義し、手洗いや歯みがき、洗濯などの正しい生活習慣の浸透に関する活動を強化しています。

 昨年発売した携帯歯みがきセット「MIGACOT」は主にオフィスでの昼歯みがきの普及を目的とした新商品で、未だ30%程度と低い昼食後の歯みがき習慣の一層の浸透を狙ったものです。

 本年も新たな衛生習慣確立への貢献を目指し、様々な生活シーンでの感染予防に向けた衛生関連商品ラインアップの拡充に加え、人々の不安や疑問に応える様々な情報の開発と発信を強化してまいります。

 一方、今回のパンデミックの中でも変わらずに推進していくべきである最大のテーマはサステナビリティへの対応です。地球温暖化や海洋プラスティックの問題は、今回のパンデミック以上に人類の生存に関わる大きな脅威であると考えられます。

 当社では、この問題への取り組みを加速すべく本年より新たにサステナビリティ推進協議会を設け各施策の推進力を強化いたします。

 今やこの問題は各社が個別に独自の施策を進めるだけではなく、協働して大きなアクションにしていくことが重要です。当社は昨年花王株式会社様とプラスティックの回収・再利用に関する共同取り組みをスタートさせました。

 また物流面では、鈴与株式会社様、モンデリーズ・ジャパン株式会社様、株式会社J₋オイルミルズ様と共同幹線物流を開始しました。

 この取り組みは、「令和2年度グリーン物流パートナーシップ会議優良事業者表彰」において、経済産業省より「商務・サービス審議官表彰」を受賞しています。今後ともこうした業界を超えた協働にも挑戦してまいります。

 日本にはすでに液体製品での詰め替え容器の高い利用率や、洗濯におけるすすぎ1回の普及など世界的に見ても進んだエコ習慣が浸透していますが、これらを一層進化させるとともに世界に向けて発信・提案していくことも私たちの使命と考えます。

 今後とも関係諸団体や政府機関との連携を強め、こうした課題の解決に貢献してまいります。
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