アルビオン スキコンを超える新スキコン、満を持してデビュー

週刊粧業 2022年5月23日号 1ページ

アルビオン スキコンを超える新スキコン、満を持してデビュー
 アルビオンは5月17日、「薬用スキンコンディショナー エッセンシャル(スキコン)」を大幅にバージョンアップし、「薬用スキンコンディショナー エッセンシャル N(新スキコン)」(110mL・3850円、165mL・5500円、330mL・9350円)としてリニューアル発売した。

 新たに油にしか溶け出さない有用成分を含んだ「ハトムギオイル※1」を開発。約1万粒のハトムギから30 mLしか抽出できない希少なオイルを新配合し、テクスチャーはほぼ変わることなく、すこやかな美しさを肌にもたらす機能が向上した。

 新スキコンの優位性やポテンシャルについて商品開発部の丸島陽子グループ長に、プロモーションについて花田洋一氏、松谷美幸氏に話を伺った。

新成分「ハトムギオイル」を加えつつ
「しんしんと脈打つ刺激感」を体現

 ――スキコンのこれまでの進化の経緯を振り返っていただき、今回の刷新で打ち出したかったポイントについて教えてください。

 丸島 「薬用スキンコンディショナー エッセンシャル」は、1974年に「グランデューク」のエッセンシャルシリーズの中の化粧水としてデビュー以来、「スキコン」という愛称のもと、約半世紀にわたり多くの人々の肌を魅了してきました。

 その後もさらなる高級化粧品としての進化を求め、感触を変えずに薬用化を図ったり、ハトムギの品種にこだわるなど、大きなバージョンアップを図ってきました。

 今回は、2011年に「北のはと」という品種の国産ハトムギから抽出したエキスを開発した前回のリニューアルから、11年ぶりのパワーアップリニューアルになります。その間に、リニューアルという形はとっていないのですが、2017年にオーガニック認証を取得し、自社契約栽培農場で有機栽培されたハトムギ「オーガニック北のはと」を採用するなど、継続的にパワーアップを図ってきています。

 オーガニック化という一区切りがついた5年前より新たなハトムギ成分の開発に着手し、この度「ハトムギオイル※1」の開発に成功したことから今回のリニューアルとなりました。

 新しい成分の開発にあたり調査を進めていったところ、従来品では「北のはと」の抽出エキスとして水溶性の有用成分を配合していたのですが、ハトムギの粒には微量ながら油溶性の成分が含まれていることに着目しました。そこで油に溶け出す有用成分による新たな成分を開発できないか研究を進め、今回のリニューアルの核となる油にしか溶け出さない有用成分を含んだ「ハトムギオイル※1」に行き着きました。

 「薬用スキンコンディショナー エッセンシャル」は、有効成分 グリチルリチン酸ジカリウムによりニキビや肌あれを防ぐ効果が魅力です。その名のとおり、肌のコンディションを整えることを特徴としており、ひんやりとした清涼感でベタつきなくしっとりうるおう感触が支持されています。ですので、そうした特徴を変えずに「ハトムギオイル※1」を入れ込むことにとても苦心しましたが、ようやくスキコンを超える新スキコン「薬用スキンコンディショナー エッセンシャル N」を完成させることができました。



 ――これまでのスキコンと比較し、どのような点で優位性を引き出せるとお考えですか。

 丸島 スキコンの一番のポイントは、肌質や年齢を問わず、様々な肌悩みにもアプローチできる高いスキンコンディショニング効果です。

 肌トラブルは、吹き出物や肌あれとなって肌に現れますが、従来のスキコンよりも肌トラブルを防ぐソリューションがより高まっています。

 ――スキコンらしいテクスチャーに行き着くまでに数多くの試行錯誤があったと伺っています。

 丸島 アルビオンのスター商品としてご愛用者も多いスキコンは、「これぞスキコン」という独特のテクスチャーがあり、それを逸脱しない範囲でオイル成分を入れ込むことが課せられていたため、研究員は本当に大変だったと思います。

 通常は2~3名のチーム体制で商品開発にあたり、その後に社内でモニター調査を行うのですが、今回のリニューアルではそうしたことは一切せず、開発当時の経緯をよく知る大塚裕子執行役員と私の2名で膨大な数にのぼるサンプル評価を徹底して行い、「これぞスキコン」という1サンプルにたどり着きました。1回毎に10サンプル程提出されるのですが、最終的に選択したサンプルと他のサンプルでは0.001しか成分比率が違わなかったということでした。

 実際には、新たに「ハトムギオイル※1」が追加されましたので、全く同じテクスチャーということにはならないのですが、それを感じさせないような処方の妙、組み合わせによってうまくオブラートに包んで処方設計ができました。そのため完成した新スキコンは、絶えず訓練を積んだプロフェッショナルが何とか見分けることができるレベルに仕上がっています。

 当社では、ロボットやAIなど最先端技術の開発に取り組んでいますが、それだけでは今回のスキコンリニューアルにおいては納得のいくテクスチャーには到達できなかったと思います。技術革新や最先端のサイエンスを常に取り入れていますが、スキコンの独特のテクスチャーは数値や物性で推し測ることは難しく、熟練したプロフェッショナルの研ぎ澄まされた五感や肌感性から導き出される絶妙な点と点のバランスでのみ成立するといえます。それが先ほどの0.001の違いに表れたと感じています。

 ――最終的に1つに絞られた訳ですが、何が決め手になったのですか。

 丸島 古くから珍重されていたハトムギのエキスを配合した白濁の化粧水「スキコン」は、引き締めの収れん化粧水とうるおいの保湿化粧水を1つにした今までにない化粧水をつくりたいという想いを出発点としています。それ故に、ひんやりみずみずしく清涼感がありながら後肌はしっとりし、肌内で何か変化が起こっていることを感じさせるようなテクスチャーが特徴です。

 そのテクスチャーについて初代スキコンの開発担当者は「しんしんと脈打つような刺激感」と絶妙に表現していますが、まさにそれこそが、スキコンの、スキコンならではの、テクスチャーの真髄であると思います。

 最終的に1つに絞り込んだ際には、大塚執行役員と私の意見がピタッと一致しました。2人は肌質が全く違うのですが、スキコンのよさを肌で感覚的に認識しており、「しんしんと脈打つような刺激感」というこれまで受け継がれてきた核があったお陰で「これぞスキコン」というものにたどり着くことができました。

 ――実際、ハトムギオイルが配合されたことで、どのようなよさが引き出されたとお考えですか。

 丸島 スキコンは、有効成分 グリチルリチン酸ジカリウム配合により“スキンコンディショナー”の名前の通り、「肌を整える」化粧水です。従来から配合してきた水溶性の「ハトムギエキス※2」に加え、油溶性の「ハトムギオイル※1」を配合したことにより、さらに頼しさが進化しました。ハトムギ1粒1粒に眠っている力を余すことなく引き出すことができた成果です。



 ――新スキコンには、御社の3つのモノづくりの基本方針「最先端技術の応用」「原料・素材のこだわり」「製造方法・製造工程のこだわり」がどのように盛り込まれていますか。

 丸島 「ハトムギオイル※1」を開発し、その中に有用成分がどのぐらいあるのかを探索する際に、「最先端技術の応用」がとても活きました。ハトムギは古来よりヨクイニンとして発展してきた歴史があるが故に、西洋的な思想での研究が進んでおらず、具体的にどの成分がどんな作用機序があるのかという分析はされてきませんでした。未だ解明されていないハトムギの有用成分を突き止めるのは非常に根気のいる作業ですが、諦めずに研究を進め、多数の有機化合物が含まれており、様々な生理活性効果が期待できることを発見しました。この部分でアルビオンの研究力は大いに活きました。

 「ハトムギオイル※1」の抽出にあたっては、「原料・素材のこだわり」が活かされました。世に出回っている多くのハトムギ化粧水は海外産のハトムギを現地で脱穀・精白したものを輸入してそれを用いているものもあるかと思われますが、当社では自社契約栽培農場で有機栽培されたハトムギ「オーガニック北のはと」を抽出直前に脱穀・精白することで、湿度・温度などによる環境劣化を防ぎ、常にフレッシュな状態のオイルが抽出できます。

 結果として、有用成分の劣化も少なく、有用成分の量も多いということにつながっています。



「肌よ、整え。」を掲げ、
魅力をダイレクトに訴求

 ――どういった層を取り込んでいきますか。また、新スキコンの潜在力をどのように分析していますか。

 丸島 新スキコンは、老若男女、ターゲットフリーというスキコンのDNAを継承しつつ、「ハトムギオイル※1」が加わったことで、様々な肌悩みに寄り添い、より多様な方々にご満足いただけるようになったと確信しています。

 潜在力については、スキコンから卒業されていく方が少なくなりリピートが増える「守り」の部分と、これまで出会えていなかった男性を含めた様々な方々に使用してもらう「攻め」の部分の両方で、まだまだご愛用者を増やすことは可能だと考えています。

 当社においてはスキコンが新規獲得率(単品)では乳液と並び上位となっていますが、「スキコン」「ハトムギ化粧水」という名称では他メーカーのものを想起される方はまだまだたくさんいらっしゃいます。そう考えると、新スキコンを通して積極的に新規のお客様との出会いを図っていかなければいけませんし、まだまだ出会うチャンスは広がっていくと信じています。

 ――新スキコンの認知度を高める取り組みについて教えてください。

 花田 新スキコンの訴求を考えたとき、市場に数多く存在するハトムギ化粧水との違いをどう打ち出していくかがポイントだと考えています。

 従来型の「ハトムギオイル※1が配合され、パワーアップしました」というプロモーションではなく、改めてスキコンのよさを見つめ直し、プロモーションに活かすべきと考えました。

 具体的には、「肌のコンディションを整える」というスキコンならではの強みを、リニューアルを機に発信していきたいと考え、プロモーションメッセージに「肌よ、整え。」を掲げました。敢えて正面切って言い切ることでスキコンの魅力をダイレクトにお伝えし、新しいお客様との出会いを創出していきます。

 プロモーションでは、新しいお客様との出会いを第一に取り組んでいきますが、同時にスキコンをご愛用いただいているお客様にもスキコンが変わることをお伝えし、盛り上げていきたいということで、発売の前後でそれぞれのプロモーションを用意しました。

 発売前のプロモーションでは、既存のお客様向けに新スキコンの期待感を高めるデビュー予告をコルトンやポスター、紙製什器などで展開するとともに、過去最大級の事前サンプリング(3日分のサンプル配布)をデビュー前の最重要活動と位置づけ実施していきます。

 デビュー(5月17日)以降は、スキコンを知らない方々を含め、「肌よ、整え。」というメッセージを前面に打ち出していくことで、スキコンのよさを知っていただくことに徹底して努めていきます。



 ――長期的に愛用者を増やしていくためのポイントを教えてください。

 花田 スキコンの歴史を遡ると、商品力だけで売れた訳では決してなく、お店のスタッフの皆様がスキコンを愛してお客様に熱心に語って育てていただいたことが大きかったということがわかります。

 これからも新スキコンを育てていって欲しいという想いを込め、お店のスタッフの皆様、当社のBA、営業のうち、スキコンを愛してやまない方、スキコンに精通した方をスキコンのスペシャリスト「スキコニスト」として活動していただく取り組みをスタートさせます。認定試験に合格した方にバッジを贈り、スキコニストとして今まで以上にスキコンに対する自信と愛情を持ってお客様にご紹介いただくことに、今期は力を入れて取り組んでいきます。

 商品力が上がったというだけで新スキコンが売れるとは全く考えておらず、スキコンを愛してお客様にお伝えしていただくプロセスこそ重要であり、もっと強化していかねばなりません。

 スキコンは店頭でマスク美容法、ミスト美容法という活動を通じてご紹介いただいてきた歴史があります。スキコンを愛してやまない担い手の方々を増やすことが、結果としてご愛用者を増やすことにつながっていくと考えます。

 ――デジタルプロモーションの概要について教えてください。

 松谷 デジタル上でも、人から人へ広がっていくことを表現することで、スキコンのご愛用者を増やしていきます。

 今回は、社員、お店様だけでなく、お客様にも「スキコニスト」というキーワードを通じてスキコンのよさを広めるデジタル施策を展開します。

 第1弾として6月2日より「集まれ! 全国スキコニスト」というコンテンツを立ち上げ、公式サイト、公式SNSで発信していきます。

 具体的には、スキコニストに認定された全国各支店のBA、営業約70名に顔写真つきでメッセージを寄せてもらい、コンテンツ化していきます。スキコンをよく知り、こよなく愛するスキコニスト達が「全国で皆様のご来店をお待ちしています」というメッセージを発信していくことで、店頭への誘引を図っていきます。

 第2弾としてお客様参加型の「あなたもスキコニストに挑戦」というSNS上のキャンペーンを実施します。スキコンにまつわるいくつかのクイズにチャレンジして、結果をSNSでシェアしていただいた方の中から抽選で商品がプレゼントされるというもので、7月上旬からのスタートを予定しています。

無駄を恐れずに、有用
成分の探索にチャレンジ

 ――今後、スキコンをどのように育成していきますか。

 丸島 もうすぐ50周年を迎えるスキコンですが、70周年、100周年においてもスターであり続けて欲しいです。

 当社には創業当時からの歴史商品はありますが、ロングセラー商品で、かつ第一線で活躍し、プロモーション商品であり続ける商品はスキコンしかないと思っています。

 このスキコンがスターであり続けるためには、進化を止めないということが非常に重要です。時代に合わせて現場で販売してくださる方々が紹介したいと思ってもらえるような商品へと進化を続け、常にアルビオンのトップランナーとして輝き続けて欲しいです。

 進化のポイントは、変えるべきことと変えないことを峻別し、変えるべきものは大胆に破壊し新たに構築していく、その繰り返しであり、破壊の仕方が鍵を握ります。

 テクスチャーは変わってもコアな部分がしっかりとブレなければ、時代が変わろうとも「これぞスキコン」ということで愛され続けると思います。

 これからも、ハトムギのさらなる有用成分の探索と、新たな処方開発にチャレンジし続けていきます。

(注釈)ハトムギオイル※1…油溶性ヨクイニンエキス(保湿)、ハトムギエキス※2…ヨクイニンエキス(保湿)


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