RAPHAS JAPAN、DEN方式溶解性マイクロニードルの特長と今後の可能性について紹介

C&T 2022年6月15日号 30ページ

カンタンに言うと

  • ニードルの長さからパッチの形状、配合成分まで自由な商品設計が可能に
RAPHAS JAPAN、DEN方式溶解性マイクロニードルの特長と今後の可能性について紹介
 RAPHAS JAPAN(ラパスジャパン)は、ドラッグデリバリーシステム(DDS)の一種で、医療機器・医薬品で活用されている「溶解性マイクロニードル」を用いて、美容成分を効率よく肌に届け、浸透力と安定性に優れたマイクロニードルパッチ化粧品の製造・販売事業を展開している。

 マイクロニードルパッチは現在、美容分野において認知が徐々に広がりつつあるが、元々は注射に代わる製剤として開発されたもので、「DDSの多くは注射による投与が一般的な方法だが、注射針による痛みや、液体の薬剤を『冷蔵・冷凍』で保管・輸送するためのコールドチェーンの確保、さらには汚染された注射針による死者が年間130万人を超えるなど、医療廃棄物による環境問題もある。こうした現状の課題を解決すべく、革新的なDDSとして登場したのがマイクロニードルパッチだった」(権有利(グォン・ユリ)社長)という。

 溶解性マイクロニードルパッチは、「痛みのない注射」とも呼ばれ、蚊の針ほどに極めて細い構造体を肌の奥に浸透させ、有効成分を効率よく届ける。

 注射器のデメリットである痛みや注射部位の腫れなどはもちろん、注射器による感染や恐怖心、抵抗感などを解消した新発想のDDSだ。経口投与ではなく皮膚組織を通じて薬物を浸透させるため、腸内のpH・酸素・食べ物などに関係なく投与でき、利便性が高く長時間連続投与に適している。



 「具体的なメカニズムとして、マイクロニードルのワクチンパッチは、免疫細胞が豊富な表皮から真皮層に薬物をゆっくり注入することで少量の抗原で安全に免疫を誘導する。筋肉層にワクチンを投与する注射では、免疫誘導能力が低下し、抗原が全身に広がる副作用などが起こり、それに比べるとマイクロニードルは安全性が高い。また、マイクロニードルのワクチンパッチは、凝固製剤で皮膚の水分により徐々に溶けて真皮層に抗原を注入するため、急激に抗原を人体に注入することで起こるアナフィラキシーショックや予期せぬ副作用を抑え、安全に免疫を誘導する。一般的なワクチン製剤は冷蔵流通が必要なだけでなく、保管及び投薬のために専門医療施設と専門スタッフが必要だが、マイクロニードルのワクチンパッチは常温流通・セルフ投与を実現し、パンデミックの状況でも同時に大量のワクチン供給が可能だ」(権社長)

ニードルの長さからパッチの形状
配合成分まで自由な商品設計が可能に

 マイクロニードルパッチの製造方法は、有効成分を金型に流し込んで熱や光で乾燥・固形化する「Micromolding」が一般的となっているが、量産化と成分の安定性といった面で課題があった。

 それに対し、ラパスジャパンでは、パッチの上に有効成分からなる小滴(Droplet)を落とし、反対側のパッチを突き合わせてから伸ばして(Extension)マイクロニードルを成形した後、送風で固めて分離する「DEN(Droplet Extension)方式」を採用。日本だけでなく、韓国やアメリカ、中国などで国際特許を持つDEN方式は、パッチを突き合わせることによって上下2つのマイクロニードルパッチを同時に製造でき、さらに製造過程で熱や光を使用しないことから配合成分の安定性と高効能を実現した。

 「製造時間が12~48時間かかっていた従来の製法に比べ、DEN方式は5分と非常に短い。また、温度変化がない製法によってほぼ100%に近い乾燥率を実現し、丈夫でシャープな溶解性マイクロニードルパッチの製造を可能にした。静岡と韓国に保有する製造拠点では現在、生産ラインの全自動化を構築し、このような量産体制の確立により、業界でも最大級となる300万枚の月間生産量を実現している」(権社長)

 DEN方式のメリットとしてはこのほか、光や熱に弱く、酸化しやすい成分でも安定的に配合できる点にある。

 溶解性マイクロニードルの主成分は、肌内部にある水分によって溶け込む物性を持つヒアルロン酸をベースとし、うるおい成分のコラーゲンや美白成分のアスコルビン酸、抗シワ成分のナイアシンアミドなど、様々な有効成分を組み合わせた溶解性マイクロニードルパッチ化粧品の製造が可能だ。

 「溶解性マイクロニードルは、肌の内側を膨らませるヒアルロン酸注射と異なり、環境ストレスなどの外的要因や加齢によって減少した肌内部の成分を物理的に付け加えて持続的に入れることで肌本来の健康を取り戻していくというメカニズムだ。溶解性マイクロニードルパッチ化粧品では、ヒアルロン酸をはじめ本来ならば肌の内側に存在する成分を表皮や真皮へとダイレクトに届け、実際に4~8週間での効果も確認され、非常に即効性が高い」(権社長)



 化粧品カテゴリーにおけるDEN方式溶解性マイクロニードルの主な製品例としては、酸化しやすいレチノールを安定化させた「マイクロニードル美容パッチ」(特許登録済み)をはじめ、抗酸化力に優れたアスタキサンチンを配合した唇用の「溶けるアスタキサンチン マイクロニードルパッチ」などがある。

 「いずれも市場のニーズに合わせて開発したもので、『マイクロニードル美容パッチ』はレチノールの安定化だけでなく、UV遮蔽パッチを使用するなどパッチの素材までこだわっている。『溶けるアスタキサンチン マイクロニードルパッチ』は、レモンの200倍ともいわれる高い抗酸化力を持つアスタキサンチンを肌内へ有効的に届ける方法として、皮膚の中で最も薄い唇用パッチとして開発した。唇に貼ることで抗酸化力を上げるとともに、唇の色や縦ジワの改善効果が確認されている」(権社長)

 ラパスジャパンでは、金型を使用しないDEN方式による製法の採用により、ニードルの長さやパッチの形状、さらには配合成分を柔軟に変更でき、付着する部位に合わせて一からオリジナルで自由に商品設計することが可能だ。

 そのため、目もとや口もとなどの顔以外にも、頭や胸など身体にまで広範囲にわたって、バリエーション豊富なオリジナルの溶解性マイクロニードルパッチ化粧品を提案できる。

 「マイクロニードルで肝心なのは、針の本数比較ではなく肌への浸透力だ。マイクロニードルがしっかりと肌に刺さるのか、有効成分はどのぐらい含有されているのか、そして付着する部位に合わせて設計された製品であるかをしっかり意識して商品設計を行っていくべきだろう」(権社長)
ホーム > 化粧品業界人必読!週刊粧業オンライン > RAPHAS JAPAN、DEN方式溶解性マイクロニードルの特長と今後の可能性について紹介

ライブラリ・無料
ダウンロードコーナー

刊行物紹介

定期購読はこちら
お仕事紹介ナビ

アクセスランキング

  • 日間
  • 週間
  • 月間
PDF版 ダウンロード販売
化粧品マーケティング情報
調査レポート
株式会社矢野経済研究所
pagetop