ポーラ化成、東大との共同論文が学術誌「Cell Reports」に掲載

訪販ジャーナル 2022年10月24日号 6ページ

カンタンに言うと

  • 皮膚の奥の神経が肌のシミ形成に影響、重要な働きを担う因子も同定
ポーラ化成、東大との共同論文が学術誌「Cell Reports」に掲載
 ポーラ化成工業は、東京大学 生産技術研究所と共同で肌のシミと神経の関係について研究を行い、2021年に神経のシミへの関与を示し「Journal of Dermatological Science」に掲載された成果に続き、このほど、そのメカニズム解明にも成功し、世界的に権威ある国際科学学術誌「Cell」の姉妹誌「Cell Reports」に論文が掲載された。

 今後も革新的な研究を進め、驚きと感動を提供する製品の提供を目指す。

 論文タイトルは「Human Sensory Neurons Modulate Melanocytes Through Secretion of RGMB」で、この成果をシミなどの皮膚の局所的な色素沈着の理解と改善法の開発などに活用していく。

 ヒトの皮膚においてシミが特定の部位にできやすいことは知られていたが、その理由は不明だった。一方で、シミのもととなるメラニン色素を作る色素細胞(メラノサイト)の近くには感覚神経が存在することが知られていた。しかし、2種類の細胞の機能的な関係はあまり調べられていなかった。

 そこで感覚神経とメラノサイトの関係に着目して詳細に調べた結果、ヒト皮膚のシミ内部では、シミのない部位に比べて感覚神経とメラノサイトの接触が増えていることが判明した。また、メラノサイトをヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した感覚神経と一緒に培養すると、単独で培養するよりも活発に突起を伸ばすとともに、より多くの色素が産生されていた。

 このメカニズムを明らかにするため、ヒトiPS細胞由来の感覚神経細胞から分泌されるタンパク質を網羅的に調べたところ、RGMB(Repulsive Guidance Molecule B)と呼ばれるタンパク質がメラノサイトの突起伸長と色素産生を促すことを突き止めた。RGMBは、メラノサイトが色素を含む小胞を細胞外に放出する機構も活性化していた。

 これらのことから、ヒトの皮膚中の感覚神経は、RGMBを分泌することでメラノサイトを活性化させることが明らかになった。
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