資生堂、色持ち・二次付着レス効果を実現する革新的技術を開発

粧業日報 2023年10月5日号 1ページ

カンタンに言うと

  • なめらかで軽いつけ心地と高い色持ち効果を両立
資生堂、色持ち・二次付着レス効果を実現する革新的技術を開発
 資生堂は、唇に塗布すると色材を集め、唇上で蒸発する水を感知して色材がネットワークを形成する「ウォーターセンシングテクノロジー」を開発した。色材がループ状にネットワークを構成することで、色材1つ1つが離れにくく、唇に密着して高い色持ち効果を発揮する。

 加えて、色材を密着性の高い油や被膜剤で維持していたこれまでの口紅とは異なり、塗膜を固化しないため、なめらかで軽い付け心地と高い色持ち効果を両立した口紅製剤を実現することに成功した。

 理想の口紅の条件に関するアンケート調査を行うと、「うるおいがある」「つやがある」「落ちにくい・二次付着レス」という項目が上位に挙がり、口紅の基本機能として、カップやマスクへ色が付かず、飲食後や長時間経過しても色が保たれる「落ちにくい・二次付着レス」効果が求められるようになっている。

 同社は、これまで独自のオイルコントロール技術を活用して、つや、透明感のある仕上がりと色持ち、二次付着レス効果を両立する口紅の開発を行ってきた。今回、さらなる色持ち、二次付着レス効果を備えた口紅の実現に向けて、従来技術では、色材を保持している油分がマスクなどのこすれによって取れる際に色材まで一緒に取れてしまうという点に着目した。この点は塗膜を固化する被膜剤を用いて流動性をなくすことで解決できるが、付け心地が悪くなるため、塗膜の流動性を維持しながら、さらに高いレベルでの色持ち、二次付着レス効果の向上を目指し新たなアプローチを探索した。

 研究では、唇上の水と相性の良い油性成分に着目し、新しいアプローチでの色持ち、二次付着レス効果の向上を試みた。開発した「ウォーターセンシングテクノロジー」は、唇に塗布すると色材を集め、唇上で蒸発する水を感知して、色材はループを形成する。その色材ループは水と相性がよいため、色材ループが唇のような親水性の界面に集まり、つながることで色材の強固なネットワーク構造が完成し、色持ちの良さが実現する。また、同技術を搭載した口紅の膜性質を調べると、塗布中はなめらかで液体のような流動性を示しており、塗布後に水と反応しネットワーク形成すると、流動性が弱まり、塗膜が心地よい程度のゲル状の性質(弾性)に変わることがわかった。

 口紅の摩擦力を専用の機器で測定すると、新技術搭載の口紅の方が摩擦力が小さく、唇への負荷が少なく、なめらかな塗り心地を実現していることがわかった。新基剤を使用した際の仕上がりを観察すると、塗布後、普段通りに過ごした4時間後においても、色・つやともに維持され、キレイな仕上がりが続く結果となった。ウォーターセンシングテクノロジーを搭載した口紅製剤は、塗膜がとどまりやすい状態に変化をするものの、硬く固まらず、色材の柔らかい凝集で色持ちを持続しているため、乾燥を感じにくく、色持続を実現することが確認できた。

 今回開発した「ウォーターセンシングテクノロジー」を搭載した口紅は、塗膜が硬くならずゲル状の性質(弾性)で形成されるため、これまで難しかったなめらかで軽い付け心地と高い色持ち効果の両立を実現できるようになった。
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