マンダム、自然由来指数100%の高浸透ナノキャリアの開発に成功

粧業日報 2023年12月7日号 2ページ

マンダム、自然由来指数100%の高浸透ナノキャリアの開発に成功
 マンダムは、美容成分を皮膚深部に送達させる浸透制御技術の研究を行う中、今回、水溶性成分の皮膚浸透性向上を可能とする自然由来指数100%原料のみで構成されたナノキャリアである「ナチュラルバイセル」の開発に成功した。この技術を皮膚浸透性に優れた高機能なスキンケア製品の開発に応用していく。

 同社ではこれまでに、皮膚浸透性が高い微細カプセルであるバイセルの開発に成功し、スキンケア製品へ応用してきた。このバイセル技術の進化として、化粧品の自然・オーガニックに関する国際規格であるISO16128で定義された「自然由来指数」の高い原料を用いたナチュラルバイセルの開発に取り組んだ。

 バイセルは、生体膜類似物質であるリン脂質を主な成分として構成されるディスク状の構造体。大きさは平面部分が20~数十nm程度、厚みは数~10nm程度であり、脂質二分子膜構造を持つ製剤の中では最小サイズであると考えられている。

 今回、自然由来指数100%である原料から、バイセルを形成する成分の組み合わせを検討し、スキンケア製品へ安定配合が可能なナチュラルバイセルの開発に成功した。

 一般的に皮膚に浸透しづらいと言われている水溶性成分2種を用いて、ナチュラルバイセルによる皮膚浸透作用を評価した。ヒト皮膚を用いてカフェインの浸透性を評価した結果、ナチュラルバイセル配合条件下では、カフェインの浸透性を向上させることが確認された。また、水溶性蛍光色素を用いて、同様に浸透性を評価した結果、ナチュラルバイセル配合条件下では、真皮まで浸透していることが確認された。

 角層の水分保持に重要な役割を果たしているアミノ酸に着目し、アミノ酸を豊富に含有した発酵エキスとナチュラルバイセルを配合したモデル化粧水を用いた浸透性評価を実施し、角層中のアミノ酸量への影響を確認した。その結果、ナチュラルバイセル配合化粧水を適用した方が、角層中のアミノ酸量が多くなっており、特に角層下部のアミノ酸量が著しく増加(約1.8倍)していることが確認された。ナチュラルバイセルが発酵エキスを角層の深いところまでより浸透させたことが示唆された。
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