国内3拠点・海外3拠点(フランス・中国・タイ)に評価試験施設を構えるDRCは、自社リソースの有効活用を目的に、他社との連携・協業を進め、新しいサービスを創出している。
今年1月には化粧品の研究サポートや開発コンサルティングを行っているCIEL社(本社=東京)と業務提携を開始し、化粧品の研究・開発から有効性試験まで一貫したサービスを提供する体制を整えた。
機能性のエビデンスを訴求した化粧品の需要拡大にともない、第三者機関による評価データの重要度が高まっている。CIEL社との提携により、処方開発時から有効性評価のアウトプットを設定し、「良質なエビデンスを狙った製品開発が可能」(同社)だという。トレンドの移り変わりが早まる中、製品開発のスピード向上と効率化にも貢献していく考えだ。
同社が他社連携などにより、新しいサービスの創出・構築を図る背景には、「評価試験をもっと身近に感じられる業界にしていきたい」(同社)との想いがある。
その取り組みの一環で、美容室と協業して取り組む消費者向けの髪・頭皮ケアのプラットフォーム「頭皮ラボ」(写真)では、昨秋より頭皮データの収集を本格的にスタートした。早くも3000名の頭皮データが集まっているという。
髪・頭皮に関する同社の定量評価と美容師のプロ視点でのアドバイスを組み合わせ、髪・頭皮ケアサービスを提供する。美容室の顧客満足度の向上や店舗のイメージアップに加え、若手美容師の早期戦力化や物販の売上拡大が期待できる。頭皮ラボで集積したデータはメーカーの製品開発に活用できる可能性もあるという。
同社は、「今後も提携する美容室を増やして頭皮のビッグデータ化を進め、美容室や美容師の付加価値向上を支援していきたい」と話しており、生活の中で試験データを身近に感じられる取り組みを進める考えを示している。
既存の試験サービスでは、フランスにあるex vivo試験施設「SOLA」が好調だ。SOLAでは、摘出皮膚を用いた試験受託やオープンラボの貸し出しを行っている。ex vivo試験は、日本でも徐々に認知度が高まっており、今までにない評価を期待したトライアルから、リピート依頼をする企業が増えているという。
同社が中国で運営する試験機関「迪而璽(広州)検測有限公司」はNMPA申請代行業務と申請用試験をワンストップで受託している。施設間差が課題となっているSPF試験では、日本と中国の自社ラボで測定値の相関を検証しており、日本で予備測定を行った後に中国で正式試験を行うスキームが好評だ。
この記事は週刊粧業 2024年1月29日号 6ページ 掲載
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