花王、パーキンソン病患者に特異的な皮脂RNA情報の同定に成功

週刊粧業 2024年7月10日号 3ページ

花王、パーキンソン病患者に特異的な皮脂RNA情報の同定に成功

 花王は、順天堂大学医学部神経学講座の斉木臣二客員教授、大学院医学研究科神経学の服部信孝教授らの研究グループと、パーキンソン病患者の皮脂中のRNA解析から、パーキンソン病だけに現れるRNA発現量の変化を特定した。

 これによって、これまでの研究で課題となっていたパーキンソン病と非常に類似した症状や病態を持つ多系統萎縮症と進行性核上性麻痺(類縁疾患)との判別が可能となり、皮脂RNAを用いたパーキンソン病の新たな検査方法の開発に近づくという。

 パーキンソン病は、神経変性疾患の中では日本で2番目に多く、有病率は10万人あたり150人にのぼり、高齢化に伴い世界中で患者数が増え続けている。根治療法が存在しないため、早期に確定診断を行って治療を開始し、症状をコントロールすることが重要だが、現在は専門的かつ複雑な検査が必要なため、より簡便な検査法が求められている。

 花王と順大は、パーキンソン病が皮脂の増加を伴う脂漏性皮膚炎を高率に併発することに着目。花王が確立したあぶらとりフィルムで採取した顔の皮脂からRNAを抽出して分析する皮脂RNAモニタリング技術を用い、皮脂RNAにパーキンソン病罹患の指標となりうる複数のRNAがあることを2021年に発見した。

 しかしその段階では、パーキンソン病と類縁疾患である多系統萎縮症や進行性核上性麻痺を区別できるのかは明らかになっておらず、課題となっていた。今回は、パーキンソン病だけに現れるRNA変化を特定し、類縁疾患と判別できる指標を確立することを目指し、順大とともにさらなる研究を行った。

 研究グループは、健常者104人、パーキンソン病患者99人、さらに新たに多系統萎縮症患者29人、進行性核上性麻痺患者33人(男女同数)を加えた合計265人を対象として、皮脂RNA情報の比較を行った。あぶらとりフィルムで採取した皮脂RNAの発現量を次世代シーケンサーで網羅的に解析し、約3500種のRNA情報が得られた。

 健常者とパーキンソン病患者を比較したところ、パーキンソン病患者ではミトコンドリア関連遺伝子のRNA発現量が上昇しており、前回の再現性を確認した。さらに今回、皮脂RNAにおいては、ミトコンドリア関連遺伝子の中でも、特にミトコンドリア複合体Vに関係するRNAが発現上昇することを新たに発見した。このパーキンソン病患者での変化は、薬剤投与量や性別の影響を受けないことも確認している。

 パーキンソン病と類縁疾患を比較したところ、パーキンソン病患者にだけ、ミトコンドリア関連遺伝子のRNA発現量の上昇が見られた。このことから、ミトコンドリア関連遺伝子のRNA変化はパーキンソン病に特異的であり、皮脂RNAから、これらの関連遺伝子を抽出して指標にすることで、パーキンソン病と類縁疾患を判別できる可能性が示唆された。

 今回、パーキンソン病患者と類縁疾患患者を比較した解析から、ミトコンドリアに関連したRNA変化がパーキンソン病に特異的であることがわかった。この結果より、皮脂RNAを用いた検査が、非侵襲的かつ簡便なパーキンソン病診断の補助技術となることが期待される。

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