カンタンに言うと
日本メナード化粧品は、藤田医科大学医学部 応用細胞再生医学講座、皮膚科学講座と共同で、非侵襲的に、皮膚内部の幹細胞の数や分布を可視化する独自AIシステムを開発し、世界で初めて皮膚内部の幹細胞の加齢変化を非侵襲的手法でイメージとして捉えることに成功した。今後、再生医療や抗老化技術の開発への応用が期待できる。
一般的に、皮膚の組織学的検査には病理学的な手法が使われてきた。この場合、皮膚の摘出が必要となるため、患者への負担が大きく、検査結果が出るまでに一定の期間が必要だった。
近年、皮膚を傷つけることなく、非侵襲的に皮膚内部の構造を観察できる技術が進歩しており、共同研究では、皮膚の外部から内部を観察する特殊な顕微鏡LC-OCTを用いて、皮膚を摘出することなく内部の状態や幹細胞の数や分布などを解析できるシステムの開発を進めてきた。これまでにLC-OCTを用いて皮膚の表皮に存在する幹細胞(表皮幹細胞)をイメージングする独自AI技術の開発(AIシステム)に成功している。
今回は、これまでに開発したAIシステムを用いて、皮膚の老化と幹細胞の状態変化について解析を行った。
20代~60代の女性16名の皮膚内部と幹細胞の状態を解析した結果、LC-OCT技術により取得した皮膚内部の3次元画像と皮膚の状態、表皮の幹細胞(表皮幹細胞)の形や分布をAIに学習させることで、皮膚を摘出することなく内部や表皮幹細胞の状態を予測することが可能となったほか、加齢に伴って幹細胞が減少している様子がイメージングできた。また、同じ年代の被験者でも幹細胞の数には個人差があることも確認できた。
次に、AIシステムによる表皮幹細胞の解析精度を検証するため、従来の病理学的手法を用いて解析した結果と比較した。同一検体に対して、皮膚内部の表皮幹細胞の数についてAIシステムによる解析と病理学的手法を用いた解析を行ったところ、表皮幹細胞の数が一致した。
以上のことから、AIシステムの表皮幹細胞の解析精度は高いことが確認できた。
これらの結果から、AIシステムは非侵襲的に皮膚外部から内部の状態や皮膚の再生能力を見極める技術として有用であり、皮膚の再生医療や抗老化技術の開発への応用が期待できるという。
この記事は訪販ジャーナル 2024年9月23日号 3ページ 掲載
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