「自社工場生産」をモットーに、ボトル成型から印刷やホットスタンプといった加飾まで、全て一貫して自社工場で手掛けている椿化工(本社=埼玉)は、ガラスに代わる二軸延伸PET容器を製造しており、技術力の高さで化粧品業界に新風を巻き起こしている。
印刷自動機やホットスタンプ、ラベル機、シュリンクトンネルなどの設備を導入した自社工場内一貫生産ならではの高効率と、二軸延伸PET成型機の増設、それにともなう新規金型の導入が顧客に受け入れられ、2010年12月の決算では過去最高益を叩き出したという。
今年も6月までに多くの受注があり、順調に推移している。新規要望の7割が二軸延伸PET容器であり、同社の藤村太郎社長は、「同容器の金型保有数は弊社が業界一かもしれない」と自負している。同社の強みと今後の展開について、藤村社長に伺った。
二軸延伸PET容器は、ガラス容器と比較しても、その高級感を損なうことなく高い強度を有している。肉厚、肉薄に対応した成型が可能で、寸法精度もダイレクトブローより精密である。また、価格がダイレクトPETよりも安価で提供できることもメリットだ。
加えて輸送時に破損する恐れが低く、持ち運びしやすい点も特長である。スキンケアからヘアケア、トイレタリーまで幅広い分野での使用が可能で、近年はダイレクトPETからの切り替えも増えているという。
しかし、二軸延伸PET成型設備は高額で、金型もダイレクトPET容器の倍以上の価格であるため、切り替えにはコストや時間的な問題が発生する。一口に切り替えると言っても、やはり現状ではなかなか容易にはいかないという。
追い打ちをかけるように、市場では石油化学製品原料のナフサが高騰しており、不景気に拍車がかかっている。
このような状況下、化粧品メーカーやOEMメーカーは、コストや納期問題といった負担を軽減するため、容器メーカーと直接商談を行う傾向が高まっている。同社ではこうした変化にも、自社生産ならではの強みを活かし柔軟に対応している。
「自社工場での一貫生産だと細かい部分まで目が届く。依頼した製品が『誰が・どのように・どこで』など、お客様が自分の目で確かめられるという安心感がある。加飾は外注するメーカーが多いが、弊社では自社で一貫して行うことで差別化を図っている」(藤村社長)
藤村社長は現在の市場について、容器の材質や形状、化粧品自体に特徴がなければ受け入れられにくくなっていると分析する。プラスチック樹脂に関しても、「コスト勝負で終わらせるのではなく、今後の容器市場で生き残るために何か特徴のある樹脂の開発が必至だろう」と警鐘を鳴らしている。
同社が新しい材質の容器を提案する背景には、一般的なガラスやブローとは異なる容器を提案することで、他社との差別化を図るとともに、新たな価値を市場に浸透させる狙いがある。
特殊形状の二軸延伸ブロー容器を展示、今夏新たに射出成型機を導入
前述したように、二軸延伸PET容器は金型が高額であることが難点である。しかし、同社は収益を金型製作に投資しているため、数多くのオリジナル金型の提案を可能にしている。同容器の成型設備を充実させ、自社オリジナル金型は400種類以上保持しているため、幅広く提案できるのも強みであるという。
年に1度はカタログやホームページを更新し新たな情報を顧客に届け、展示会に出展するなど、新規開拓にも積極的に取り組んでいる。
今回の「CITE Japan 2011」では、同社の強みの一つである「自社工場生産のこだわり」をテーマに、新型の二軸延伸ブロー成型容器を展示する。
「二軸延伸の場合、容器の肩部や線がどうしても丸くなってしまうのが課題だった。弊社では、今まで困難とされていたシャープなラインが出る角型形状の容器や、新しい飾色方法を展示するので、その技術を楽しみにして頂けたら」(藤村社長)
展示会以降の取り組みとしては、8月に射出成型機(インジェクション)を本社工場に導入する予定である。節電や環境に配慮した全電動式の成型機であるという。
これにより、従来は容器ディーラー同様、協力会社に生産を委託していたキャップやジャー容器についても自社工場生産に切り替えていく。ブロー容器の製造時と同じように顧客ニーズに敏速に対応できるといい、従来以上の顧客獲得や満足度の向上に期待がかかる。
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この記事は週刊粧業 掲載
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