塩野香料は、フレーバー部門とフレグランス部門ともに2011年度は増収増益となった。国内では、市場を捉えた研究開発と提案型の営業戦略により採用商品数が増え、上海と台湾に生産・販売拠点を置く海外では、各拠点での売上げが拡大した。
国内では毎年、香りニーズや市場トレンドを把握するために一般人を対象に香りに関する意識調査を独自に実施している。消費者の香りの嗜好性をデータ化し、研究開発や提案営業のソースとして活用している。
柔軟剤や芳香消臭剤をはじめとするトイレタリー市場では近年、本来の機能性に加え、購買欲求を刺激するような持続性のある強めの香りにこだわった商品開発が増えており、柔軟剤から派生した香りつき防虫剤のように、新分野での香りニーズの掘り起こしに期待を寄せている。
また、インバス製品に関する使用実感調査では、同じ基剤でも香りを変えるだけで質感に違いを感じることは珍しくなく、「香りがもたらす効果感」も重視し研究開発を進めている。
成長が期待される海外事業について中国では「企業間競争が激しくなっている。またこれまでの高い経済成長率は北京オリンピックや上海万博など大きなイベントが続いていたことも大きい」(小林修取締役営業本部副本部長マーケティング室長)と好調ながらも慎重な見解を示し、現在は「新たな進出先を見据えて活動している」(小林氏)という。
既にいくつか候補を見出しており、今後も市場調査を続け、香りニーズの高い地域での参入を視野に入れている。
この記事は週刊粧業 2011年8月1日号 9ページ 掲載
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