東京装身具工業協同組合(中川繁樹理事長)は2012年6月6、7の両日、「第93回TSK collection」を都立産業貿易センター台東館で開催し、15社が2012年秋冬コレクションを提案する。5月22日に東京スカイツリーが開業し、周辺地域の活性化が期待されている。TSKもモノづくりの街、台東区から旬の商材を多数提案していく構えだ。
貴金属相場は下落傾向続く
チェーンは依然細身が目立つ
――震災後、貴金属市場の動向は。
中川 仙台の宝飾展では売上げが好調だったときいている。少しずつ客足が戻っているようだ。貴金属市場は底を打ったという見方が強い。
貴金属相場に目を向けると、金はこの1年間、ヨーロッパ債務危機の影響を受けて下落気味だ。銀も下がりつつある。プラチナも急落しているので、今後は貴金属として使いやすくなるかもしれない。
チェーンは昨年に続き細いタイプが売れている。このためペンダントトップも小さいものが目立つ。これはファッショントレンドの流れもあるが、貴金属の高騰を踏まえて各社が価格を抑えた細身のチェーンを導入したことも影響している。よって価格が下がれば通常のサイズも戻ってくるのではないか。
――展示会の在り方についてどのように捉えているのか。
中川 今回は15社の出展となるので会場では各社ともゆったりとしたスペースが確保できた。このほど、組合員が集まって今後のことを話し合った。今までとは違った形で、有志が別の展示会に出展することを検討している。
例えば、去る4月に開催された「日本ホビーショー」がある。350社が出展し、来場者は3日間で13万人を超えた。100種類ほどの体験コーナーがあり、ビーズをはじめ、消しゴムアート、アートクレイシルバー、ペーパークラフト、アロマなどカテゴリーは多岐にわたる。一般消費者が訪れるので出展社はワークショップでの反応をビジネスに生かしているようだ。この中にアクセサリーも入る余地はある。現在、TSKとして展示会の方向性を模索しており、出会いの場として活用していきたいと思う。
スカイツリーの相乗効果に期待
クリエイターの街、台東に脚光
――5月22日に東京スカイツリーが開業するが、その相乗効果は。
中川 展示会場がある浅草はスカイツリーを訪れた観光客で賑わう。お客様はスカイツリーと展示会を一緒にまわったらおもしろいかもしれない。先日参加した台東区主催の講演会では、スカイツリーで連想する場所を浅草と応えた人が8割に達したという調査結果をきいた。浅草界隈はスカイツリー効果で当面にぎわうことになりそうだ。また、アクセサリーの街である浅草橋もマンションの建設が進み、住民が増えて活性化しそうだ。
――台東デザイナーズビレッジとの交流は。
中川 台東デザイナーズビレッジでは昨年に続き5月下旬にモノづくりをテーマにしたイベント「モノマチ」を開催する。当社(中川装身具工業)が営むアクセサリーのパーツショップ「ジュエリーガーデン」も出展する。このような動きもあって台東区には近年、クリエイターが集まりつつある。TSKの展示会にデザイナーズビレッジのクリエイターの参加を呼びかけることも検討したい。事務局が台東区という立地を生かしていきたいと思う。
――鉛問題への対応は。
中川 鉛問題について今年は特に大きな動きはない。消費者庁では昨年、一昨年とアクセサリーの輸入品を検査したところ、いずれも鉛が検出された。ヨーロッパでニッケルに対する規制が強化されたときいている。組合でも引き続き情報収集に努めたい。
もう1つの懸案事項がアクセサリーの原産国表示であるが、日本ジュエリー協会がガイドラインを策定したので、アクサリーでも基準について協議を進めていきたい。
――アクセサリーのトレンドは。
中川 ピンクゴールドは相変わらず人気があるが、数年前ほどの勢いはない。高騰したプラチナの代替として多用されていたホワイトゴールドはプラチナの下落で激減している。傾向として、全体的に金色が戻りつつある。震災後、婚約指輪の売上げが伸びたという話をよく耳にしたが、引き続きブライダル関連はいい動きをしているという。アクセサリーはシュシュに続く大きなトレンドが出ていないのが現状だ。
節電や円高などメーカーを取り巻く環境は厳しいが、大切なのはデフレから脱却すること。そうすれば市場が活性化して業界もよくなっていくだろう。
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この記事は週刊粧業 掲載
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