日雑卸大手のあらた(畑中伸介社長)は今期、「店頭でしっかり売り切ること」を重要課題として、返品削減プロジェクトを立ち上げ、積極的に取り組んできた。
また海外展開では、昨年2月に上海に現地法人「凱饒泰(上海)貿易有限公司」を設立し、6月に事務所を開設、9月に営業を開始した。
そして来期には、製配販の重複コストに焦点を当て、商流・物流の構造改革を積極的に推進するという。
畑中社長に、大手卸企業として担っていくべき役割や、今期の進捗状況、来期の課題などについてインタビューした。
下期に入り業績が順調に推移
通期での増収増益達成に手応え
――2012年度の日雑業界、御社の動向についてはいかがですか。
畑中 上期(4~9月)は、4~6月における震災仮需の反動については一定の予測が可能でしたが、4~9月における夏物商材については予算と大きな乖離を生じてしまったというところが最も大きなトピックスでした。売上高については、2%程度の増収を見込んでいましたが、前年同期比でほぼ横ばいということでしたので、それが収益にも影響しました。
下期は、10月、11月の実績を見る限り、ほぼ予算通りで推移していますので、通期については増収増益を是非とも達成させたいと思っています。
――今期は返品の削減を重点課題とし、販売計画への関与、気候変動に応じた棚替えなど、様々な政策を進めました。
畑中 昨期に大きな返品を経験しましたので、今期は、「店頭でしっかり売り切ること」をテーマに返品削減プロジェクトを立ち上げ、積極的に取り組んできましたが、結果として夏物商材を中心に目論み通りにはいきませんでした。
しかし、返品削減を大きな方針として掲げなかったならば、もっと大きな返品があっただろうというレベルの夏物商材の環境だったと思っています。
夏物商材というのは、それほどに難しい商材だと思います。ですから、資源を大切にするという観点からも、あるいは余計なコストをかけないという観点からも、返品削減の取り組みは継続して行っていきたいと思います。
――流通全体の無駄の排除に向けて御社はどのような役割を担っていくべきとお考えですか。
畑中 卸という立場で言うと、大きく商流と物流の部分に分かれると思います。
商流面では、当社がフィールド活動でインストアマーケティングという会社を運営している一方で、メーカー様が単独でフィールド活動にコストを投下しています。
やはりメーカー様は商品開発にヒト・モノ・カネを集中すべきと考えておりますので、商流での販売促進についてはフィールドマーケティングを全面的に見直していただけるよう、またその役割を果たすべく、機能を強化していきます。これにより、それぞれが店舗をフォローするという無駄がなくなります。
また物流面では、販売店様の受託物流、メーカー様から当社の倉庫に入るモノの流れを再度分析して、在庫の無駄、二重配送の無駄がないような仕組みをつくっていくべきだと思っています。
実際に、従前からサプライチェーンの効率化に継続的に取り組んでいる成果として、一括物流センターの受託件数は年々増えてきています。
来年度は、消費税増税が2段階で実施される環境に直面しますし、メーカー様においても特に物流については見直しをしなければならない時期に差し掛かっていると思います。7割の日用品が単価下落傾向にあると報道されている中での消費税増税であり、しかも内税ということですから、試練の年を迎えるのではないかと思っています。
こうした中、売価に還元できれば一番よいのですが、現実にはなかなか難しいだろうと思っています。製配販が一体となって、重複しているコストを削減していかないと、流通マージンがますます窮屈になってしまいます。(以下、省略)
この記事は週刊粧業 掲載
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