草苅エスポワール、専門店の存在意義を求め「肌対応」の店づくり推進

週刊粧業 2015年1月12日号 7ページ

カンタンに言うと

草苅エスポワール、専門店の存在意義を求め「肌対応」の店づくり推進
 2015年新年号(1月1日発行)の第1集で化粧品専門店の課題として「新規顧客の獲得」を挙げたが、群馬県・埼玉県に3店の化粧品専門店を展開する草苅(本社=群馬県館林市)の向山恭弘代表取締役も「永遠のテーマだ」との考えを示した。

 一方で、現場での取り組みでは、新規獲得を意識した活動よりも、「顧客との関係を築く活動に重きを置いている」とした。専門店で化粧品を購入するきっかけは「商品ではなく、店の活動にある」との考えから、「バーチャルには不可能なリアルの追求」をテーマに、各店の地域性や出店形態に合わせて独自の取り組みを推進している。

 向山社長はかつて、価格戦略にシフトするメーカー施策を見かねて「化粧をするという文化は『値引き文化』に成り下がってしまった」といった厳しい内容の意見書を他の業界紙に投稿したことがある。

 それから数年経つが「今も状況は変わらない」とし、「化粧を文化として捉え、継承していきたい考えならば、今一度体制を見直す必要がある。販売実績ではなく、『どのように消費者の手に渡っているか』という『売られ方』にもっとこだわってもらいたい」と語気を強める。

 そこで今回は、リアルの追求に向けた取り組みについて話を聞くとともに、今後の専門店業態についてどう捉えているのか話を聞いた。

肌体験・実感を来店動機に
スタッフの意識を底上げ

 埼玉県羽生市のイオンモール羽生店1階に展開する「セレクトコスメショップ エスポワール イオンモール羽生店」(敷地面積52坪)は、3店の中で最も新しい店舗となるが、順調に新規顧客数を伸ばし、主力店舗に成長した。13年秋のリニューアル後も順調に推移しており、14年秋にはアルビオンが展開した新ブランド「イグニス ガーデン」を導入するなど新たなメーカー施策に対しても能動的な姿勢を示している。

 ブランド導入時の取材で、向山社長が「館全体もリニューアル効果で集客率が高まっていることも大きい」と好調の要因を語ったように、モール内テナント店の最大のメリットはその集客力にある。しかし、「会員づくりに時間がかかることや、契約更新時の改装、場所の移動などを想定して綿密に計画を立てることが大事だ」と運営の厳しさも付け加えた。

 新規顧客の捉え方として、向山社長は「新ブランドを求めて来店した顧客は別にして、当店にとっての新規顧客は、他店から当店へ切り替えていただいたということを強く認識すべきだ」と語った。顧客は既に化粧品を使っていることが前提としてあるため、「店を切り替えようという動機は商品ではなく、活動にある」との考えからだ。

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