「コスメバース」は、旧「パーティメイクアップショップ」から大幅な改装を経て、今年3月下旬にリニューアルオープンした。
バラエティショップと化粧品専門店の中間に位置する店舗の確立を目指し、「パーティ」を展開していたが、さらなるイメージアップが必要と考えてのリニューアルだった。以前と比べても格段に入りやすくなり、新客の獲得も順調だ。
小田桂一代表に、リニューアルオープンの狙いと今後の店づくりの方針について話を伺った。
目指すはバラエティと専門店の間
間口広げ気軽に入りやすい店に
「好きにやっていい」と父親に言われ店を引き継いだ小田代表は、同店を「バラエティショップと化粧品専門店の中間に位置する店」にするべく、店づくりを行ってきた。旧店名は「パーティメイクアップショップ」。両親から引き継いだ時の屋号である「ビューティショップツルヤ」から、イメージの一新に努めてきた。
その中で、店が入っている駅前のショッピングビル「スカイプラザ」が今年3月にリニューアルオープンすることが決まり、同店も2階から1階に移転した。そして店舗改装を機に、お客からの愛称がバラバラだったり、スキンケア商品の連想がしにくかったりした旧店名の変更に踏み切り、生まれたての肌を叶える化粧品店を意味する「cosme birth(コスメバース)」を新しい店名とした。さらに、一般募集によって店をイメージするロゴマークもつくった。
移転後の大きな違いは、店舗の広さだ。それまで13坪しかなかった面積が26坪とちょうど倍に広がり、提案の幅が広がった。以前は店の出入口が狭く、入りにくい印象を与えていたが、開放感溢れる店になり、買い物ついでに立ち寄れる気軽さが増した。エスカレーターで地下1階から上がってくると目の前に店があることも、追い風となっているという。白を基調とした店内は、化粧品専門店特有の圧迫感を軽減しており、お客が「少し寄ってみたい」と好奇心をあおられる洗練した印象を与えている。
「狭い店内にスタッフが立っているとさらに圧迫感があった。間口が広くなるだけで、お客様にとってみれば一気に店の敷居が低くなったように感じる。ロゴはスタッフからもお客様からも好評だ」
同店では資生堂、カネボウ化粧品、コーセー、アルビオン、マックスファクターを取り扱っているが、リニューアルを機に、新たに「リサージボーテ」「イグニスガーデン」「シェルクルール」の3ブランドを導入した。特に敏感肌に悩む人から支持を集めている「シェルクルール」は、ブランドコンセプトの芯の強さのみならず、美容部員の教育もしっかりしていることが新規導入につながった。
また、アルビオンのボディケアブランド「イグニスガーデン」の取り扱いを開始したことで、既存の「イグニス」などのナチュラル系ブランドと、「エレガンス」「クレ・ド・ポー ボーテ」などの高機能ブランドで店内の並びを分け、同じ店内に2つの別の店があるような演出をして、お客にワクワク感を楽しんでもらえるようにした。
ライトエステで体験活動を拡大
まずは店の存在を意識づけへ
全体的に明るい雰囲気に溢れている店は、デザイナーを起用してデザインを考えたという。
「化粧品業界に特化したデザイナーだと今までと代わり映えがしないので、幅広い業界で経験がある方に依頼した。そのお陰で店の世界観を打ち出せたと思う」
白を基調にした店は、地中海をイメージしてデザインされている。また、回遊性を高めるため、店内の通路は広めに確保し、什器で導線を張った。混雑を気にせずスタッフに悩みを相談したりおしゃべりをしたりできるよう、お手入れ・カウンセリングスペースを多く設置したのも、敷地面積が拡大したからこそできたことだ。エステは2台あったのを1台に減らした代わりに個室を設け、上質なベッドを導入し、寝心地の良さを追求した。この他にも、お手入れやメーク直しが終わった後に全体の印象を確認できるようにと全身鏡もあるなど、随所に小田代表のこだわりを見ることができる。
また、1階の壁際にあるため外から覗いて中の様子を窺うことができ、歩行者にも店の存在をアピールすることができるのも好都合という。
「今までだと、スペースの関係からエステを受けてしっかりお手入れをするか、ほんの少しお直しをするかの極端な二者択一をお客様に迫っていた。お手入れカウンターを広めに取ったため、アルビオンのミストを導入して、『ライトエステ』を提案できるようになった。ミスト体験を提案するということは、我々スタッフが常にお客様の肌を気にかけているという意識の強化になる。店内が広くなった分、お客様が自由に商品を見やすくなった」
こうして店舗のデザインをがらりと変え、店内の見通しを良くした結果、「気づいたらお客様が店内にいる」(小田代表)ことが多々あるという。駅から直結している2階に店舗があった時と比べて店の前を通る人の絶対数は減ったが、フリー客が入りやすい店になり、今は1日に4、5人が同店の新規会員になる。商品を必ずしも買わなくても、まずは店が1階にあること、様々な化粧品を扱っていること、気が向けばカウンセリングやミストなどの体験ができることを知ってもらうことが大切だと小田代表は話す。
「接客に時間をかければ良いというわけではないが、親身になって話を聞こうと思えばそれなりに時間が必要になる。お客様には当店で肌がキレイになる喜びを実感してほしい。そのため、今は体験していただくことに力を入れて取り組んでいる」
多くの化粧品専門店が新客獲得に苦心しているのと同様、同店も未来を見据えた新客の獲得と固定客の育成が課題という。そのために、フリー客の獲得は必須課題となっている。
その一環で、同店では7月に「イグニスガーデン」を使ったイベントを行う予定だ。スカイプラザ1階のウッドデッキで、ブランドの各ラインの香りや使用感を試してもらいながら「イグニスガーデン」に触れてもらうのが目的だ。会員でなくても誰でも参加でき、メークアップ・スキンケアイベントとは違い敷居も低いため、出会いのきっかけを広げるチャンスにもなる。近隣の店でイグニスガーデンを扱っているのは同店だけのため、なかなか体験する機会のない人にもアピールしていきたいという。
選ばれるために「店の品格」も必要
付加価値提案が専門店の使命に
「気軽に入りやすい店」であることは大切だが、一方で小田代表は「ある程度の敷居の高さも必要ではないか」とも考えている。化粧品専門店で化粧品を買う女性は、「これだけは良いものを使いたい」というこだわりを持っている場合もある。その時に選ばれる店となるための「品格」は絶対に必要という。
「店としての付加価値提案を行い、絶えず接客に磨きをかけることが、化粧品専門店の使命ではないか。敷居が高いと敬遠されるのではなく、『この店で買った』という充足感を求めているお客様に信頼していただけるような店づくりをしていかなければならない」
柏駅には、店を構える「スカイプラザ」だけでなく、「そごう」や「高島屋」も立ち並んでいる。中でも「高島屋」は、アルビオンが強いといい、同店にとっては一番の競合店だ。百貨店以外にも、ドラッグストアチェーン「マツモトキヨシ」が林立している土地でもあり、顧客獲得競争が激しい中で商売していかなければならない。
こうした状況に対し、百貨店やドラッグストアではできない簡単なお手入れやエステ、気軽な相談を付加価値に提供を続けることで他店との差別化を図る方針だ。そして、ゆくゆくは、「百貨店からお客様を誘導できるように、魅力的なサービスを展開していく」(小田代表)としている。
〈店舗概要〉
住所=〒277-0005 千葉県柏市柏1-1-20スカイプラザ1F▽電話=04-7167-4224▽営業時間=午前10時~午後8時▽URL=http://partyms.jp/
この記事は週刊粧業 2015年6月22日号 7ページ 掲載
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