第7回 「インフィオレ」の投入でさらなる飛躍を期すアルビオン

第7回 「インフィオレ」の投入でさらなる飛躍を期すアルビオン
次世代の高級自然派化粧品市場の創造へ

 アルビオンは、米国サンフランシスコ発のオーガニックスキンケアブランド「インフィオレ」を展開するインフィオレ社と業務提携し、米国製4品に両社のノウハウを融合した日本製8品を加えた全12品を3月18日に発売。高級オーガニックスキンケア市場に参入した。

 9月18日には、百貨店3店(伊勢丹新宿店、阪急百貨店梅田本店、高島屋大阪店)と直営店「テラリウム表参道」に限られていた販路が化粧品専門店121店、コスメキッチン1店に広がった。

 インフィオレの導入を機にロードサイド店を活性化したいと語る中原洋子執行役員企画統括部統括部長に、発売の経緯やブランドの持つポテンシャル、今後の育成方針などについて話を伺った。

既存の自然派化粧品を超える
「ビヨンドオーガニック」提唱

 ――発売に至った経緯について教えてください。

 中原 「美」と「健康」に関して意識の高い女性が増えていく中、ナチュラルオーガニックというものがブームとなり、2012年9月に伊勢丹新宿店が世界中のナチュラルなコスメやフードが揃う「ビューティアポセカリー」をオープンし、その後に登場したCosme Kitchenでは、世界中の個性豊かなナチュラルオーガニックコスメを中心にした品揃えで、若い女性を中心に高い人気を獲得しています。

 安心・安全な最先端の技術を用いた化粧品開発を進めてきたアルビオンにとって当初は、ナチュラルオーガニックコスメはいつか挑戦するものという認識でした。ただ、「自然に還る」「自然とリズムを取る」というナチュラルコスメの考え方が、生活者に支持されていく状況には強い関心を持っていました。

 そうした折、日本におけるさらなる事業の拡大に向けパートナーを探していたインフィオレ社と接触する機会に恵まれ、創設者のジュリー・エリオット女史が目指す「リビングフードセオリー」(植物がもつ栄養素を最大限に人間の身体に取り入れる)というポリシーを理解するに従い、モノづくりのこだわりに合致する部分を見出せたことから、インフィオレ社とともにモノづくりがしたいと考えるようになりました。今から約3年半前の出来事です。

 インフィオレは、1999年、オーガニックムーブメントの発信地であるサンフランシスコにおいて創設された「ボタニカルアンチエイジングブランド」で、日本には2007年に上陸していました。上陸後は安定供給を最優先に限られた販路で展開していましたが、日本における事業拡大に向け、安定供給で後ろ盾となるパートナーが必要と考えていたようです。

 実際、エリオット女史にお会いすると、彼女の薬草学や自然療法に基づいた植物への深い造詣やリビングフードのセオリー(抽出法)に惹かれていき、アルビオンが持つ最先端技術と融合し、オーガニック原料などの天然成分を絶妙なバランスで組み合わせることにより、最大限に効果を発揮する処方を導き出せるのではないかと考えました。

 とにかく既存のオーガニックコスメを超えるものをつくりたいと思案する中、「世界中から選りすぐった植物の持ち味を最大限に活かす抽出法」で他社との差別化を図るというように方向性が定まり、導き出されたのが「ビヨンドオーガニック」という考え方です。

 ――「ビヨンドオーガニック」を実現するためには何が必要でしたか。

 中原 オーガニック認証の有無という尺度で争うのではなく、どれだけ効果実感を出せるかが重要だと考え、エイジングケア効果の高いオーガニックスキンケアづくりに努めていきました。

 商品化にあたっては、やはり「毎日使い続けられるかどうか」を最も大事にしました。感触や肌効果、後肌のよさなど、細部にわたって徹底してこだわりました。

 あと、植物の力を最大限に感じて使い続けてもらいたいという想いから、敢えてアルビオン独自の美容ステップである「乳液先行」にこだわらない美容法を取り入れることにしました。

 ――インフィオレのポテンシャルをどのように分析していますか。

 中原 百貨店のナチュラルオーガニックコスメ売場には、普段は外資系高級ブランドを愛用している客層の方々がたくさんいらっしゃいます。

 しかし、数百種類あるブランドの中で、目の肥えた彼女たちの審美眼にかなうブランドはあまり多くなく、安定供給という点がネックになり小規模なブランドが入り乱れているのが現状です。

 今後、成熟した大人女性が増えていきますので、エイジングケア効果の高いナチュラルオーガニックコスメはますます求められるでしょう。

 実際、化粧品専門店の奥様やスタッフの皆様にインフィオレの商品を試していただいたところ、最初の頃は天然植物成分が放つ独特な香りが苦手とおっしゃっていたにもかかわらず、1週間もしないうちに「毎日これがないと困る」と発言が変化していきました。

 その言葉を聞いた瞬間に、最初は抵抗があっても、お客様は使っていくうちに必ず虜になっていただけると確信しました。



オーガニックの聖地「表参道」に
情報発信拠点となる直営店展開

 ――情報発信拠点「テラリウム表参道」の特徴や拠点を設置した狙い、認知度を高める取り組みについて教えてください。

 中原 モダンオーガニックムーブメントの聖地がサンフランシスコであるならば、日本のオーガニックムーブメントの聖地は表参道ですから、インフィオレの直営店は最初から表参道につくろうと考えていました。

 「インフィオレ」は、丁寧な対話による接客で高付加価値品の魅力を伝えることを得意とする化粧品専門店様、とりわけロードサイド店様をメインに展開していくのが相応しいブランドです。

 ただ、ロードサイド店様の新たな武器として育成していくためには、集客をサポートする「テラリウム表参道」のような情報発信拠点となる施設が必要でしたし、それを我々自身が運営し、そこで様々な経験を積むことも必要なことでした。

 そこで我々は、単に物販や施術を行うブランドショップとしてではなく、「ビヨンドオーガニック」というブランドコンセプトを伝える情報発信メディアとしてショップを位置づけました。

 3階は、ポストスムージーな地球食をテーマに、食べるものをペースト状にする「ピュレ」という都会の忙しく働く女性のためのリセットフードを取り揃えたカフェと、映像と音と香りを融合させた五感を癒す新感覚のセラピーシアターで構成されています。

 ここを会場として、定期的にワークショップを開催しており、内外美容をテーマにした様々な企画を実施しています。オーガニックの学びの場を提供することで、お取引店様への送客につなげていきます。

 さらなる認知度向上に向け10月には、プレゼントキャンペーン情報のまとめサイト「モニプラ」にて、「体に優しいカフェでのお食事&スパ体験」と題し、100名様を招待する体験会を実施しました。

 とにかくテラリウムを知っていただく機会を1つでも多くつくっていくことが認知度向上には重要と考えており、そのよさを実感していただいた方によるSNSなどでの情報発信を1つ1つ積み重ねていくことも合わせて進めていきます。

 ――売れ筋商品トップ3を教えてください。

 中原 売上トップは、シンボリックアイテムと位置づけるフェイスオイル「ヌーリ コンプレクス フェイスオイル コンセントレ A」(25 mL・1万円)です。丁寧に時間をかけて非加熱で抽出した天然由来成分率100%のオイルで、植物の生きたままの効果をダイレクトに肌で実感できます。

 売れ筋2位は、天然由来成分率93%の化粧水「レジェネラン ボタニカルウォーター コンセントレ」(115mL・7000円)です。1位のフェイスオイルとの併用で高いアンチエイジング効果が期待できますので、この2品が売れています。

 売れ筋3位は、肌をトリートメントしながらメークをきれいに取り去るバームタイプのクレンジング「ブリヤンス クレンジングバーム」(100g6000円)です。

 「バームがクレンジングになったら面白い」という発想でつくられたふき取りタイプのクレンジングで、全て天然成分でつくられています。これまで、乳化技術をベースに洗い流せるクレンジングを数多く手掛けてきた当社では初めての処方技術であり、商品化にあたっては様々な困難に直面しましたが、メークを落としながら、後肌を柔らかくするという今までにない新しい発想のクレンジングが完成しました。


目指すのは、クチコミで
広がる着実なファンづくり

 ――エステメニューも独自性があるとお聞きしています。

 中原 エステメニューを策定するにあたり、オリジナル性が高く、わかりやすいということを重視して探索していたところ、琉球舞踊の所作、琉球古典音楽を取り入れたオリジナルメソッドを提唱する沖縄県出身のエステティシャン伊是名祐子氏と出会いました。

 その伊是名さんが偶然「アルビオン」と「インフィオレ」の長年の愛用者でしたので、「インフィオレ」の新しい施術システムづくりに協力して欲しいとお願いしたところ、門外不出のメニューの公開を快諾していただきました。

 ゆるやかに流れる琉球音楽をベースに、その調べに合わせた施術方法は、心身のかたよりにアプローチしてバランスよく身体を整えるため、施術後は生まれ変わったように心身がリフレッシュするのを体感できます。

 テラリウム表参道では、顔からデコルテまでを集中的にトリートメントする2つのコース(各60分)と、全身をリラックスさせながら巡りを促す2つのコース(各120分)の4コースを用意しており、本格的なスパをお楽しみいただけます。

 一方、専門店様にはテラリウム表参道のオリジナルエステを応用した、店頭活動に適した約30分間のメニューを導入しました。

 短時間でも効果が感じられるような設計にしていますので、年齢とともに出てくるたるみやむくみ、顔の歪みを整えるとともに、自律神経のバランスを整え、すこやかな美しさへと導きます。

 ――今後、インフィオレをどのように育成していきますか。

 中原 やはり専門店ブランドとして育成していきたいです。愛用していただく方を一人でも多く増やし、専門店様とともに成長していければと考えています。

 まずは9月までに導入を行ったお店様に、アルビオンブランドでは取り込めなかったお客様を呼び込めるかが重要であり、やるべきことだと考えています。

 広告宣伝を大規模に行ったからといって売上が急激に増えるということはありません。とにかく、「インフィオレが大好き」というお客様を、フェイストゥフェイスで実際に商品を試してもらう中でつくりあげていくしかないと考えています。

 ブランドを愛用していただいているお客様からクチコミで伝わっていくことが地道ですが、一番確実な方法です。これは最も労力と時間がかかる方法ですが、それをやり続けていきます。

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