資生堂、脳血流測定を用いた化粧品評価法の開発に成功

粧業日報 2019年8月23日号 2ページ

カンタンに言うと

  • 化粧品塗布中の価値判断は脳血流反応と相関することを発見
資生堂、脳血流測定を用いた化粧品評価法の開発に成功
 資生堂は、化粧品開発の過程で行う化粧品評価法において、塗布中の脳血流反応を測定することによって顧客の価値判断を知る方法を開発した。

 従来の脳血流測定法では頭や身体を固定するため、顧客自身で化粧品を顔に塗布することができなかったが、今回開発したfNIRSを活用した脳血流反応を測定する方法では、顧客自ら化粧品を塗布している最中の脳血流反応を測定することが可能となった。

 また、今回開発した評価法を用いて測定した、人が価値判断を行う際に重要であるとされる右脳のDLPFC(背外側前頭前野)の脳血流反応と、行動経済学などにおいて商品やサービスへの支払い意思額の指標に用いられるWTPの値に相関性が認められた。

 なお、同研究成果(中央大学との共同研究)は、7月18日に大阪で開催された「第84回SCCJ研究討論会」にて発表している。

 研究では、一般女性25名に塗り心地・仕上がり感の異なる6種類の口紅のサンプルを使用してもらい、塗布中の脳血流反応を測定した。その結果、価値付けなどに直接関与していることが知られている右脳のDLPFC(背外側前頭前野)が反応し、WTPの数値との間に相関性が認められた。

 さらに、同じ一般女性25名に対するアンケートによって得られた6種類の口紅に対する評価とWTPの数値の間にも有意な相関性が認められた。

 これらの結果から、右脳のDLPFC(背外側前頭前野)の脳血流反応を測定することにより、顧客が化粧品を使用中に判断している価値について直接測定できる可能性を見出した。
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