日光ケミカルズは、コロイド化学と皮膚科学をベースにグループ7社の総合力を活かし、幅広いニーズに応えるトータルサポートサービスを展開している。さらに、グローバルネットワークを強みに、安心・安全かつ安定供給が可能な原料を各国に提供する。
今年から商品化・提案を開始したアンチエイジング素材「NIKKOL Mevalution(メバリューション)」は、コエンザイムQ10やスクワレンなどの脂質を生体内で産生するメバロノラクトンで、アメリカ・サンフランシスコベイエリアにあるバイオベンチャー・Visolis社との共同開発によって誕生した。
最先端のバイオ技術を持つVisolis社の強みである合成生物学への知見を活かし、効率的な発酵による生産を実現。従来のメバロノラクトンよりもスピーディで効率的な生成が可能となった。
NIKKOL Mevalutionでは、短期連用(2週間)による保湿効果が確認されているほか、長期連用(3~4週間)によるアンチエイジング効果が認められている。
保湿効果を評価する試験では、乾燥が進む冬季に25歳~48歳の女性9名を対象に、NIKKOL Mevalution5.0%配合製剤とプラセボ製剤を半顔に1日2回朝と晩に塗布し、初期値・2週間後・4週間後の計3回、皮膚水分量の測定行った。
結果、5.0%配合製剤では乾燥による水分量の低下が抑えられ、2週間の連用でプラセボ製剤に比べて150%の水分量の増加が確認されている(図1)。
メバロノラクトンは生体内で代謝されてスクワレンやコレステロール、ビタミンKなどの脂質を含む、イソプレノイドという脂質成分になる。これらの脂質成分が皮膚内で増えることにより、皮膚バリア機能が強化されるため、皮膚水分量が増える。
さらに連用を中止しても持続する保湿効果が期待できる。実際に今回の評価試験のモニターからも、肌への効果を実感する声があったという。
アンチエイジング効果ではキメ、シミ、赤みについて、先述の評価試験と同条件下にて皮膚パラメータ(VISIAによる画像解析)の測定を行った。結果、4週間後のプラセボ製剤との比較では、キメ(皮膚の凹凸の個数)について約20%の減少、シミの個数について約15%の減少、赤みの個数についても減少傾向が認められた(図2)。
アンチエイジング効果においては、メバロン酸が代謝されて産生されたコエンザイムQ10の作用が重要となる。コエンザイムQ10は細胞のエネルギー合成を促進し、エネルギー不足による肌の老化を防ぎ、肌を若々しく保つ。さらに、抗酸化能が高く、エネルギー産生で生じた活性酸素を消去する働きによる肌の老化防止効果が知られている大事な成分だ。
生活習慣や加齢に伴い減少するコエンザイムQ10は、若々しい肌を保つための重要な役割を果たしているが、化粧品への配合が規制されており、使用量が限られているという。皮膚内でのコエンザイムQ10の代謝・産生を促進するNIKKOL Mevalutionは、こうした課題の解消にもつながる。
このようにNIKKOL Mevalutionは、エネルギー合成促進作用・抗酸化作用・脂質バランス調整作用の3つの作用によりアンチエイジング効果や保湿効果を発揮する。
「保湿・アンチエイジング効果に加え、透明の水溶液であるため、スキンケアやボディケアなど幅広いカテゴリーへの配合が容易だ」(グローバル購買部田中一光氏)
加えて、同社は独自技術であるDNAマイクロアレイを用い、NIKKOL Mevalutionの効果を網羅的に評価している。DNAマイクロアレイでは様々な遺伝子の発現量を測定することができる。三次元表皮モデルにNIKKOL Mevalutionを添加したところ、ヒアルロン酸合成関与因子とコラーゲン合成関与因子の増加、マトリックス分解関連因子の減少が認められた。
そのほか、表皮細胞増殖関連遺伝子やバリア機能関連遺伝子と幅広い発現が確認されている。同社は、グループの中核に総合開発センターのコスモテクニカルセンターを持ち、多角的な評価・分析に力を入れている。今後、さらに作用機序の解明を進める予定だ。
NIKKOL Mevalutionは糖を発酵して得られる、環境に配慮したサステナブル原料として、近年のトレンドであるクリーンビューティにも適応している。パラベンフリーやシリコーンフリーに加え、動物実験を行わず、動物由来素材も使用していないサステナブルかつクリーンな素材となっている。またハラル化粧品にも対応可能だ。
ミレニアル世代やZ世代など、配合成分にも敏感なユーザーが世界的に増加する中で、同社はナチュラルコンセプト製品への提案にも注力していく。