物産フードサイエンス、化粧品向け新製品「アクアオール」を紹介

C&T 2021年12月15日号 50ページ

カンタンに言うと

  • 新製品《アクアオール》のご紹介
物産フードサイエンス、化粧品向け新製品「アクアオール」を紹介
 食品、医薬品、化粧品、工業品と幅広い分野に「糖アルコール」を供給している物産フードサイエンスは、食品や医薬品などで培ったノウハウを活かし、2021年1月に化粧品向け新製品「アクアオール」の販売を開始した。

 化粧品業界における糖アルコールのイメージは、単糖の糖アルコールであるソルビトールに挙げられるように「保湿剤」としての効果が広く知られている。

 「ただ、化粧品分野において使用されている糖質原料はほんの一部であり、まだまだ使いこなすことができる素材だと考えている」(研究開発センター 蓑田香奈子氏)

 アクアオールは、植物由来の原材料より製造される加水分解水添デンプンである。トウモロコシやタピオカなどから得られたデンプンを加水分解し、さらに水素添加(略して水添と呼ぶ)することによって得られる糖アルコールの一種であり、単糖の糖アルコール及び多糖の糖アルコールからなる混合物の総称である。

 「アクアオール#1(ナンバーワン)」「アクアオール#2(ナンバーツー)」の2つのグレードを保有しており、同セミナーでは、各商品アイテムを想定した試験結果を基に各グレードの効果を紹介した。

 「アクアオール#1」のキーワードとしては、まず「保湿力・しっとり感」が挙げられる。

 スキンケアにおける試験として、各多価アルコールを10%配合したモデル化粧水を用いて、人の上腕内部における角層水分量の変化を経時的に計測したところ、保湿力の高いグリセリンには及ばないものの、アクアオール#1は、角質水分量を増やし、肌の保湿力を向上・維持させることが分かった。

 また、使用感の評価を同じモデル化粧水を用いて実施した。アクアオール#1を配合すると、グリセリン処方に比べて、乾く直前のブレーキ感・しっとり感などのテクスチャーに大きな特徴を出すことができる。

 一般的に商品の保湿力を高めるため、保湿剤を多く入れすぎると、べたつきやぬめりが発生し、効果とテクスチャーの両立が難しい場合があるが、アクアオール#1は、保湿性を維持しながら、高いブレーキ感によるぬめりの低減や膜感によるコク・重厚感の付与、ハリ感の付与といった、保湿性を維持しながら使用感を調整することが可能である。

 次に、ヘアケアにおける試験として、毛髪内部の水分量である二次蒸散含有率を測定したところ、グリセリンやソルビトール以上に、アクアオール#1では毛髪内部の水分を保持できており、毛髪にうるおいを与えることが分かった。

 また、最新のヘアケア試験では、アクアオール#1を配合することで、高湿度環境下での毛髪のうねりを抑制できることが分かった(特許出願中)。30㎝のインド人のうねりの毛束を、水、グリセリン、ソルビトール、アクアオール#1の各水溶液に浸漬させ、25℃90%RHの高湿度条件下で保管し、6時間後の毛束の状態を観察した。

 その結果、保管6時間後の毛束は、水やグリセリンで施術した毛束は広がりが多く、うねりにより毛束長が短くなっているのに対して、アクアオール#1で施術した毛束は広がり・うねりが少なく、まとまっていることが確認された。

 以上の結果から、インバスのヘアケア商品のみならず、アウトバストリートメント商品への配合も推奨しており、毛髪への「保湿・しっとり感・まとまり性」が期待できる。

 「アクアオール#2」のキーワードとして、「膜感・接着性・耐水性・泡質改善」の4つが挙げられる。最初に膜感についてのデータを紹介した。

 アクアオール#2を10%配合した、モデル化粧水の官能評価では、グリセリン処方と比べ、乾く直前のブレーキ感、乾いた後には膜感が感じられ、被膜形成によりべたつきも出ることなく、さっぱり感が感じられたという。

 このように、リーブオン化粧品にアクアオール#2を配合することで、重厚感・ハリ感を付与しながら、さっぱりとしたテクスチャー付与が可能である。

 続いて、人体向けの接着力に関するデータを紹介した。つけまつげの接着剤として、アクアオール#2を用いた際の接着力を測定した。

 手の甲につけまつ毛を接着させ、機械で引っ張った際の強度を接着力として評価したところ、人体向けの接着剤としてよく使用されるアクリル樹脂と同等の接着力がアクアオール#2にあることが分かった。

 また、アクアオール#2は、水溶性でありながら、高い耐水性を有している。試験結果では、ソルビトール、マルチトール液製品に比べて、特にアクアオール#2の耐水性が優れていることが分かった。

 これらの膜感・接着性・耐水性の特徴を生かした商品として、ヘアスタイリング剤の水性ポマード処方での使用感を評価したところ、グリセリン処方に比べて、「高いセット力、キープ力、ナチュラルな束感」といった特徴が確認された。

 「トレンドやスタイリング剤の種類に合わせ、仕上がりを調整することもできる。ソフト向けの場合、セット力やまとまりの良さを実現でき、ハード向けでは伸びの良さ、程よいナチュラル感や束感、女性向けヘアミストであれば、ナチュラル感、まとまりの良さ、滑らかさを生かすことができる」(蓑田氏)

 続いて泡質改善効果も報告した。アミノ酸系活性剤との処方により、ポンプフォーマーから吐出した直後の泡の状態を確認すると、特にアクアオール#2において、非常に細かく均一な泡が確認できた。さらに5分後の様子を見てみると、グリセリン処方は非常に大きい泡となったが、アクアオール#2は非常にきめ細かい泡を維持している。アクアオール#2を配合することで、「キメ細かい泡を形成・維持する」ことができる。

 また、長期の泡の安定性も確認できている。メモリ付きのグラスにポンプフォーマーで泡を吐出し、その後の排液量を計測することにより、泡の安定性を評価した。その結果、無添加とグリセリン処方は、時間経過とともに排液量が増加し、泡の安定性が低いのに対し、アクアオール#2を配合したものは、排液量を抑え、「泡を長持ちさせる」ことができると確認された。



 さらに、アクアオール#2を配合した洗浄剤の洗浄力についても確認したという。レモンの表面に、石けんで洗い流せる口紅一定量塗布し、ポンプフォーマーで作った泡でそれを洗浄した。その結果、アクアオール#2を配合していないものは、レモンのくぼみに多く口紅が残っているのに対し、アクアオール#2を配合したものは、小さなくぼみの汚れまで落とせていることが確認できた。

 「当社では、アクアオールの他にも、化粧品向けの糖アルコール製品を保有している。近年は認証・規格取得にも注力しており、ソルビトール、キシリトール、D-マンニトールの一部のグレードはコスモス認証を取得した。研究開発サイトでは、今回紹介したアクアオールをはじめ、当社原料について、研究データ・応用例を発信している。最新情報を随時更新しているため、是非一度ご確認いただきたい」(蓑田氏)
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