ライオン、日本油化学会「工業技術賞」「エディター賞」を受賞

粧業日報 2022年5月12日号 5ページ

カンタンに言うと

  • 「ルックプラス バスタブクレンジング」の技術・市場貢献が高評価
ライオン、日本油化学会「工業技術賞」「エディター賞」を受賞
 ライオンは、令和3年度公益社団法人日本油化学会「工業技術賞」「エディター賞(Journal of Oleo Science Editors'Award)」を受賞した。

 ルックプラス バスタブクレンジングにおける「浴槽表面に固着したケラチン汚れの除去技術と掃除負担軽減に向けた浴室洗剤への応用」をもとに、研究技術成果、特許出願・特許成立、浴室用洗剤市場の活性化につなげたことが高く評価された。

 「工業技術賞」は、油化学工業に関連する技術的成果、工業化実績、特許出願・特許成立の有無に関して特に顕著な業績に対して、「エディター賞」はJournal of Oleo Science掲載の原著論文の中でも特に優秀と認められた論文に対して与えられる。

 なお、「ルックプラス バスタブクレンジング」については、2019年の日本包装技術協会「第43回木下賞 研究開発部門賞」、20年の世界包装機構「ワールドスター賞」、21年の四国地方発明表彰「日本弁理士会会長賞」「実施功績賞」など、これまでも製品技術に対して他団体より高い評価を得ていた。

 家事の時短や負担軽減が生活者ニーズとして高まる中、浴槽掃除は、スポンジ等でこすらないと汚れが落ちないと思っている生活者が多く、負担が大きい家事の1つだったことから、同社では「浴槽のこすらず洗い」という新しい掃除行動の提案を目指した。その実現に向けては十分な洗浄力と簡便な洗浄手段が不可欠であることを突き止め、「汚れの除去性を大きく向上させる剤」と「浴槽全体に広がる汚れに対し満遍なく洗剤を作用させる手段」の開発に挑んだ。

 前者の課題解決に向けては、汚れを短時間で浴槽表面から剥離しやすい状態にすべく、従来の浴室用洗剤の主技術である界面活性剤の可溶化・分散に基づく考え方だけでない、汚れの物性変化に着目した新たな洗浄技術を開発した。

 具体的には、浴槽の汚れを除去するため、高い金属捕捉能を持つ剤を短時間で汚れに浸透させる手法を検討し、特定の界面活性剤とグリコール系溶剤の組み合わせによって、汚れの膨潤速度を大きく向上できることを見出した。この技術を応用し、浴槽表面からシャワーの水圧だけで汚れを流し剥がせる、こすらず洗える新洗浄メカニズム「無力化洗浄」を構築し、洗剤組成に活用した。

 後者の課題解決に向けては、1プッシュで約1mの広範囲に多量の洗剤を噴霧できる、新しいミストタイプのトリガー容器を開発した。

 具体的には、液を充填するピストン部の構造を工夫し、テコの原理が働くようトリガーレバーの長さを適切に調整することで、手の大きさや握力などの個人差に左右されることなく、腕をスライドしながらワンプッシュで楽に噴霧することを可能にした。
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