座談会2022、ポストコロナ時代の化粧品専門店を考える

週刊粧業 2022年10月17日号 4ページ

カンタンに言うと

  • 顧客との信頼関係を再確認、地元志向から新規に広がりも
  • SNSも顧客との関係づくりから目的意識を持って独自性を磨く
  • 地域に活性化を生み出す業態へ、横のつながりを活かして価値向上
座談会2022、ポストコロナ時代の化粧品専門店を考える
 対面による接客・カウンセリング販売を主とする化粧品専門店では、若手経営者・後継者で組織する自主運営組織「NCC若手経営者の会」が中心となり、各店の好事例を共有し合うことで専門店の価値向上を図っている。

 顧客との信頼関係を活かしたデジタルの活用法や独自サービスの創造にも力を注いでおり、コロナ禍ではWeb会議などを取り入れて事例活用の裾野を広げている。

 そこで今回は、「ポスト店舗運営を考える」をテーマに、NCCに所属するサンウェルの髙橋一敏代表取締役、とらやの田中隆介代表取締役、あぶらやの森里史代表取締役、博多屋の山崎晃裕代表取締役の4名と座談会を実施した。

顧客との信頼関係を再確認
地元志向から新規に広がりも

 ――コロナ禍は3年目に入り、長期化しています。今年は行動制限の緩和で客足が戻ってきたという報告もありますが、みなさんの店舗はいかがですか。



 田中 埼玉県さいたま市岩槻区にある化粧品専門店「ギンザビビ岩槻店」は、コロナ禍の2021年7月に商業施設内でより駅に近い立地に移転・増床した。移転後は新しいお客様の獲得に向けた活動を強化している。今年4月頃から売上は前年を上回って推移しているが、コロナ前の19年までの回復には至っていない。



 髙橋 当社は、21年6月に新たに隣市のイオンモール茨木店に「コスメショップ アンドフルール」をオープンした。それまでは長年、隣の高槻市で化粧品専門店と薬局を経営しており、2号店目としてイオンモール茨木への出店計画を立て、社員も雇用して準備をしていたが、コロナ禍に入ってしまった。大阪は全国的にも感染が拡大し、高槻の本店は高齢のお客様が多かった。辛い決断になったが、本店を閉め、新店に移転することにした。

 「アンドフルール」は、商業施設に出店することを考慮し、ワクワクするようなお店、出入りしやすく回遊しやすいお店づくりにこだわった。カウンセリングブランドを増やすとともに、韓国コスメやギフト向けのアイテムなど新しい商材も扱うことにした。

 本店時代のお客様の中には新店に足を運んでいただけている方もいらっしゃるが、ゼロからのスタートだと考え、21年年末までにLINEのお友達登録1000名を目標に取り組もうということでスタートした。緊急事態宣言下でのオープンとなり不安は正直あったが、これまで売上も会員数も着実に伸びている。

 LINE登録者もオープンから1年で6000人を超え、会員登録も5000人と高い確度でメンバーを増やせている。今後も会員数を増やす活動に取り組み、稼働会員を増やしていきたい。



 山崎 当社は長崎県長崎市で化粧品専門店「おしゃれの店 博多屋」を3店舗経営している。市内中心部の商店街にある本店は様々なカウンセリングブランドを扱っており、支店2店舗は資生堂のオンリーショップとして運営している。

 長崎市は2018~19年にかけて年間300日弱ほどクルーズ船が発着し、インバウンドの恩恵を受けていた。そのため、本店を中心にコロナ禍によるインバウンド消失の影響は大きかった。コロナ禍に入って配達サービスを強化し、LINE登録いただいているお客様を中心に商品を届けながら関係維持を図ってきた。今年はわずかだが、前年の売上を上回って推移しており、回復の兆しは見えてきている。



  山形県東根市で資生堂専門店「私のスタイルハウスMORI」と女性専門の体操教室「カーブス」を経営している。

 もともと化粧品と一緒にアパレルを扱うお店で、2000年に今の立地に移転した。移転当時はアパレルの売上が中心で、化粧品の売上は2割程度だったが、アパレル業界の将来性に不安を覚え、化粧品の方に力を入れるようになった。

 19年秋には店舗を全面改装して、新しいお客様への対応を強化してきた。新しいお客様との関係も築けて、さあこれからというタイミングでコロナ感染が県内にも拡大した。

 コロナ禍では会員のお客様との関係を維持する活動に取り組んでおり、コロナ禍の2年間は昨対で売上を落とすことなく、推移している。

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