カネボウ化粧品 前澤洋介社長、世界でOnly Oneの事業体目指す

週刊粧業 2023年1月1日号 40ページ

カネボウ化粧品 前澤洋介社長、世界でOnly Oneの事業体目指す
 さて、2022年を振り返りますと、国内は、想定していた以上にコロナウィルスからの市場回復が厳しい1年でした。海外に目を向けても、これまで成長をけん引してきた中国市場の減速と、欧州の地政学的リスクによるインフレが起こす景気低迷、原材料高騰など、この1年で新たな課題が表面化してきました。

 そのような中でも、花王化粧品事業は、2022年をコロナ禍からの回復の年と位置付け、3つの着眼点で事業活動を進めてきました。

 一つめは、最も重要な「ブランド磨きの継続~パーパスドリブンブランディング」の取り組みです。一昨年から、ブランドの集合体を「Kao Beauty Brands」と位置づけ、事業パーパスに「Celebration of Individuality」を掲げて、多様性を尊重した個性豊かなブランド群でお客さまに寄り添うことをめざしております。

 その活動が実を結びはじめ、昨年は美容誌のベストコスメを過去最高数受賞するなど、高い評価をいただくことができました。中でも、特に大きな成果を上げたのが、ヒット商品を多数生んだ「KANEBO」、マーケティングを高く評価いただいた「KATE」です。また、フェムテック分野での活動を充実させた「TWANY」も、取り組みに対する共感のお声を多数頂戴いたしました。

 二つめは、「ESG視点の事業運営の深化」です。一昨年、株式会社コーセー様と化粧品事業のサステナビリティ領域において包括的に協働していくことに合意し、以降、積極的に取り組みを進めて参りました。

 昨年2月には、その第一弾として、花王が推進する「化粧品プラスチックボトル水平リサイクルへの取り組み」と、コーセー様が協力されてきた「絵具などへの化粧品再生利用の取り組み」における協働を開始しました。また、昨年11月には絵具に引き続き、化粧品の「インキの色材への再利用」についても実現に向けた検証を進めています。

 三つめの「DX推進によるデジタルコミュニケーションの加速とUX創造」においては、ECビジネスの基盤として、2022年ですべてのプレステージブランドの直営ECサイトを立ち上げました。また、花王が昨年12月15日に開設した、生活者と直接つながる双方向デジタルプラットフォーム「My Kao」内に、お客さま一人ひとりの異なる悩みや興味、ライフスタイルに寄り添うビューティコミュニティサイト「Kao Beauty Brands Play Park」をオープンしております。お客さまとブランドや商品との「素敵な偶然の出会い」を創出し、さらに双方向でのコミュニケーションを図ることで、商品やサービスをお客さまと共創する場にしていきたいと考えます。

 さらに、2023年1月より、美容部員の総称を「ブランド エバンジェリスト」に変更しました。あらゆる場面でお客さまとブランドをつなぐ伝道師として、2025年までには店頭とオンラインの両輪で活躍できるよう、スキル習得を目指した研修をスタートさせます。

 2023年は、withコロナの市場回復も見据え、「パーパスドリブンブランディングの加速」「欧州新運営体制をスタート」「双方向コミュニティサイト『Kao Beauty Brands Play Park』の本格稼働」に取り組みます。この1月から化粧品の欧州新運営体制をスタートし、海外事業の拡大を推進してまいります。そして、2030年までに国内市場、海外市場で、G11の全ブランドをカテゴリー№1に成長させ、世界でOnly Oneの事業体にしていきたいと考えております。
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