資生堂、がん治療に伴う外見変化に関する実態調査

粧業日報 2023年2月16日号 5ページ

カンタンに言うと

  • 副作用などにより9割以上の患者が外見変化などを経験
資生堂、がん治療に伴う外見変化に関する実態調査
 資生堂は、2022年5月12日~6月16日にかけて、世界9エリアで、合計1350名(男性n=50×9エリア(450名)、女性n=100×9エリア(900名)、合計1350名)のがん罹患経験者を対象に意識調査を実施した。がんサバイバーに向けた取り組みのグローバル展開の加速に向け、この結果を活用していく。

 前回は2021年に3カ国(中国、ドイツ、日本)で実施していたが、今回は初めて8カ国9エリア(アメリカ、中国(上海)、中国(四川省)、ドイツ、フランス、日本、シンガポール、タイ、ベトナム)まで規模と対象者数を拡大した。

 その結果、回答を得られた対象者の9割以上(男性94.7%、女性93.4%)が何らかの外見や肌状態の変化を体験し、そのための外見ケアの必要性を80.9%の人が感じていた。また、そのことにより84.8%が「気持ちが落ち込んだ」(35.3%)、「物事に消極的になった」(29.6%)、「治療に後ろ向きになった」(19.9%)など、気持ちや行動に影響を与えることがわかった。

 体験した変化で顕著なものは、「頭髪の脱毛」が59.3%、「肌の色変化」が43.9%、「眉の脱毛」が31.9%、「まつ毛の脱毛」が26.1%となった。

 肌色の変化は、「黒ずみ」が40.3%、「茶色」が30.3%、「青くすみ」が29.3%、「しみが濃くなった」が26.2%となっており、ファンデーションでカバーするなどの外見ケアを行っている人が約8割(79.1%)にのぼった。

 こうした外見変化に関する相談相手の上位は、医療従事者(医師66.7%、看護師37.5%)となっており、家族が29.1%で続き、がん患者への外見ケアの支援には医療従事者からの情報提供の重要性が示された。

 外見ケアに関する情報の入手方法は、「誰かに相談」が71.0%、「インターネット」が62.3%となっている。

 日本では他エリアと比較して、外見変化が現れたときに外見ケアを相談しにくい傾向(全エリア中最下位、全体約5割、男性4割強、女性5割超)が見られ、患者が外見についての悩みを周囲に相談しやすくなる社会的環境づくりが必要なことがわかった。

 同社は2008年から、がん治療の副作用に対する外見ケアを手がけており、抗がん剤治療後のアピアランスケアへの関心の高まりに対し、2022年、性別問わず外見ケアに関する最新の美容情報をまとめた「外見ケアBOOK」を発行。やけど跡、傷跡、あざ、白斑、がん治療の副作用による外見変化など、肌に深い悩みを持つ人を化粧の力で支援する「資生堂ライフクオリティー メイクアップ(SLQM)」のウェブサイトや、カウンセリングスペースを確保した「資生堂 ライフクオリティー ビューティーセンター」、SLQM専用化粧品「パーフェクトカバー」取扱店舗においても、がん患者に向けた情報を提供している。

 これに加えて、資生堂ソーシャル活動専門チームによる、がん外見ケアセミナーでは、がん患者と医療従事者向けに、化粧による外見ケアの方法を紹介している。
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