花王、京大と使用済み紙おむつの炭素化リサイクルの確立へ

粧業日報 2022年3月7日号 1ページ

カンタンに言うと

  • 2023年に技術を確立し、2025年以降の社会実装めざす
花王、京大と使用済み紙おむつの炭素化リサイクルの確立へ
 花王と京都大学は、2021年1月から愛媛県西条市の協力のもと「使用済み紙おむつの炭素化リサイクルシステム」の確立に向けた実証実験を進めており、2023年までに炭素素材への変換技術を確立し、2025年以降の社会実装(「炭素化装置」の設置拠点・回収方法などインフラの検討)を目指す。

 炭素化することで炭化物に炭素が固定化されるため、燃やされる際に発生するCO₂を削減することができ、環境負荷低減につながるという。

 リサイクルシステムの確立に向けては、使用済み紙おむつの炭素化装置の開発と、炭素化した使用済み紙おむつの炭素素材への変換の2点が不可欠であり、この取り組みを進めることで、CO₂排出量削減による環境負荷低減に貢献していく。

 炭素化装置の開発が進めば、少ないエネルギーインプット(低温反応)で、効率的に炭素化が可能になるほか、使用済み紙おむつの体積が減るため、回収頻度を減らすことも可能となる。炭素化に伴い、殺菌・消臭されることで衛生面の問題も解決されるという。

 「炭素化装置」の開発では、基礎実験として紙おむつで使用される各素材の炭素化の研究と、炭化物の解析を進め、炭素を高収率で固定できることを確認した。

 その結果をもとに、花王において、介護施設等で利用実績がある既存のおむつ処理装置・生ごみ炭化装置をベースに、新たな「炭素化装置」の開発を進め、2021年11月に、西条市の保育施設に、新たに開発した「炭素化装置」を設置した。

 導入した保育施設では、約1カ月間、発生するごみの量や保育士の作業量などの確認を行い、使用済み紙おむつの発生量は平均で1日7kg程度になること、作業量は1日1回の使用、概ね月1回の回収が適切であることがわかった。つまり、保育士は、1日分の使用済みおむつをまとめて「炭素化装置」に入れて作動させ、月1回炭素化した紙おむつを回収することで一連の作業が完了するという。

 花王では、リサイクルシステムに加えて、保育施設でのおむつ提供による保護者・保育士の負担軽減を検証すべく、8~11月まで、実証実験を実施する保育施設にベビー用紙おむつ「メリーズ」を提供した。保護者からは「毎日のおむつ準備が不要で助かった」、保育士からは「急いでいる時に手間が省けた」といった声が寄せられ、共に負担軽減が確認できたという。

 今後は、炭素化した使用済み紙おむつを回収し、花王・京大にて炭素素材へ変換する研究を進め、2023年までに変換技術の確立を目指す。また、西条市内での資源化循環システムの構築も検討していく。引き続き、2025年以降のリサイクルシステムの社会実装に向けて、「炭素化装置」の設置拠点・回収方法などインフラの検討を進める。
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