資生堂、デジタルアプリシステムを開発

粧業日報 2024年1月18日号 3ページ

カンタンに言うと

  • 適切なスキンケア美容法の実践をサポート
資生堂、デジタルアプリシステムを開発
 資生堂は、150年を超える歴史の中で培ってきた美容法や感性科学領域の知見と、AIを用いた微細な手の動きを検出する動作認識技術を活用し、美容法の伝授が対面でできないような場所であっても、スマートフォンやタブレット端末などを用いてインタラクティブに顧客の適切な美容法の習得と実践をサポートすることができるデジタルアプリシステム「Beauty AR Navigation」を開発した。

 このアプリを用いることにより、顧客は動画やナレーションでわかりやすく適切な美容法を実践・習得することができるほか、自身が行う美容法に対して定量的な評価を得ることも可能で、長期的な美容法習得のモチベーションを上げることが期待できる。2024年1月9~12日(現地時間)にアメリカ・ラスベガスにて開催された世界最大級のデジタル技術の見本市「CES 2024」にて発表した。

 あらゆる体験がデジタル化していく社会の変化を迅速に捉え開発された同アプリを、今後生活者に向けて展開し、いつでも・どこでも使える多様な生活者や環境への対応と、美容行為ならではの満足感や幸福感を両立する、スキンケアの体験を提供していく。

 1872年の創業以来、同社は適切なスキンケア美容法の開発と、美容部員(PBP)によるそれら美容法の伝授に力を入れて取り組んできた。実際、美容法はスキンケアの効果を最大限得るために重要であることが科学的にも明らかになってきており、同社が開発した「軽圧式塗布法」に沿って化粧水・乳液を塗布すると、自己流での手入れに比べ、スキンケア後のうるおいやハリ・弾力に関する効果実感が高まることや、気持ちがポジティブになるなどの心理効果のほか、実際に1カ月間美容法を継続することで肌の水分量が改善するといった結果が研究で得られている。

 一方、商品の購買に至るまでの情報収集、カウンセリング、購買、その後の使用法の習得や使用後の評価・所感の共有まで、あらゆる化粧品の使用体験が、従来の店頭や人対人で行われていたスタイルから、スマートフォンなどを介して非接触、非対面で行われるデジタル体験に置き換わってきており、生活者の利便が大きく向上している。

 そのような中、同社のインタビュー調査によって、「自分自身の化粧品の使用法が正しいのか不安である」「本来期待できる化粧品の効果が、誤った使用法によって十分得られていないのではないか」「適切な使用法を知ることでさらに美しくなりたい」という生活者の悩みやニーズが明らかになった。

 現在提供されているデジタル体験の利便性に加え、このような生活者の悩み・ニーズにテクノロジーの力でよりきめ細やかに応えるサービスの提供を目指し、今回、スマートフォンなどを用いて顧客の適切な美容法の習得と実践をサポートすることができるデジタルアプリの開発を進めた。

 今回開発したアプリには、大きく2つの機能(「適切な美容動作へのナビゲーション」「美容動作の評価」)が搭載され、適切な美容法習得をサポートする。

 1つ目の機能では、顧客自身が行う美容動作をスマートフォンやタブレット端末などのカメラで認識し、その動作に対して同社の美容法開発を担う専門技術者による「お手本」動作の分析から設定した、適切な手の方向や速度などの動作を伝授する。動作の伝授は、AR技術によってユーザー自身の映像に重ねられた仮想の「手」の動きやナレーションなどによって、リアルタイムに直感的でわかりやすい形で行われる。2つ目の機能では、ナビゲーションの後、手本の美容動作と顧客の美容動作の手の位置や速度の比較解析を行うことで、顧客の美容動作を定量的に評価し、その結果を提示する。

 ユーザーはこれら2つの機能を備えたアプリを自身のスキンケアのタイミングにあわせて継続使用することによって、これまでのオンラインカウンセリングなどに加え、非接触・非対面の環境であってもさらに簡便に、モチベーションを高く維持しながら、適切な美容法を習得することが可能になると考えられる。

 今後この技術を同社のビジネスへ早期に応用し、生活者の手元へ届けるとともに、他のデジタル技術についても、その開発と社会実装を加速していく。
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